ワシントン州認定ソーシャルワーカー
角谷 紀誉子さん
2019年3月15日付で、コンサルティングのサービスは終了しました。
【公式サイト】 www.successabroadcounseling.com
夫(アメリカ人)が宗教に熱心で悩まされています。結婚して10年、子供は1人です。結婚したときは違う宗教だった(熱心ではなかった)のですが、5年ほど前に今の宗教に変わりました。初めのうちは悪いことではないので私(日本人で無宗教)も協力的だったのですが、夫が熱心になればなるほど嫌気がさしてきました。普段の2人の会話の中で宗教的なことを言って、その場をしらけさせてしまうことも多々。度重なる喧嘩の結果、私はストレスが原因で頭痛やじんましんに悩まされるほどに。今では聞くのも嫌なので、お祈りなどは一切声を出してしないようにしてもらってます。2人の合意の下、子供に対して宗教的な教育も一切認めていません。
現在の重大な問題は寄付金です。夫は宗教で決められただけの寄付金をしていますが、これに私は大反対。寄付額も以前より増えてます。今では、酒やたばこよりはマシな額ではありません。大きな喧嘩を繰り返し、私が折れて認めたもののやはり納得がいきません。寄付額の半分を私の希望するところへ寄付したいと言っても聞き入れようとしません。2人が平等であるには、私が寄付をすることに対して折れたように、寄付金の行き先に対して夫も折れるべきだと主張しています。
夫はやさしくて、まじめで酒、タバコ、ギャンブルなど一切しません。生活は普通で、私は専業主婦。もちろん私は夫を愛しています。私さえ何も言わなければ、平和な日々を送れます。でも夫の宗教に強い反感を持っているために、そっちにお金(寄付金)を持って行かれるのは嫌で嫌でたまりません。平和に暮らすためには、私が黙っているしかないのでしょうか。
回答:宗教活動は、夫婦ともに同じ宗教を信じ活動しているならうまくいきますが、どちらかが反対していると、夫婦関係・親子関係が時間とともにぎくしゃくしていきます。宗教は「どう生きるかのポリシー」になるので、生活態度、子育てや教育の仕方、人との付き合い方、時間の使い方、お金のやりくり、将来の展望といった、生活全般に渡っての価値観・判断基準になるからです。もし、寄付金が生活費や子供の教育費にまで影響してくる、すぐに宗教の話になりまともな会話ができない、お祈りや宗教関係の活動に時間がとられ仕事や家庭に支障が出てきている、などの状態になっているなら、ここでなんらかの対策が必要です。いくらあなたが我慢して家庭生活は続いたとしても、夫婦間がそういう関係なら、子供にとってはいい環境ではないからです。
まず、彼のことを客観的に見てみましょう。5年前に今の宗教に入ったとありますが、その頃に何があったのでしょうか。何が彼にその宗教に入るきっかけを作り、どうしてそこまで入り込むことになったのか、あなたなりに考えてみてください。また、彼の人生観・家族観・仕事観・金銭感覚、さらに、過去10年間の彼の宗教活動を思い出せる範囲で、どう変化してきたかを書き出してください。もし、活動が年々増してきているなら、この先、あなたが望む方向に彼が変わる可能性は低いでしょう。彼が優しくて、まじめで酒、タバコ、ギャンブルなど一切しないからといって、2人の価値観があまりにもかけ離れているのなら、理解しあい、支えあえる共同体であるとは言えません。
次に、あなた自身のことを考えてください。今、あなたは幸せですか?もしかしたら、あなたは「専業主婦だから」自分が我慢するしかないと考えていませんか?寄付できるお金があるなら、あなたが学校に戻りなんらかの知識や技術を身につけることだってできます。その方が家族として建設的なことではないでしょうか。彼を変えたいなら、まず自分を変えることです。あなた自身が「私は自立できる」という状態になれば、夫婦関係も変わってくると思います。
掲載:2007年3月
コラムを通して提供している情報は、一般的、および教育的情報であり、読者個人に対する解決策や法的アドバイスではありません。 このコラムから得られる情報に基づいて何らかの行動を起こされる場合は、必ず専門家に相談するようにしてください。