ワシントン州認定ソーシャルワーカー
角谷 紀誉子さん
2019年3月15日付で、コンサルティングのサービスは終了しました。
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シアトルに住んで数年になりますが、年を追うごとに、冬場に気持ちが沈みっぱなしになったり、いらいらしたりすることが多く、雨が不快に感じるようになる気がします。夏場になると、夏場だけは出来る趣味もあるので、こういったことは比較的減少し、結構活動的に過ごせます。よく言われるSADというものなのでは、と思っています。雨でも外出して気晴らしをすべきだと判ってはいますが、雨の中に出て行くことだけを考えるだけでも憂うつで、ついこもりがちです。このままシアトルに住み続ける可能性が高いため、毎年こんな思いをしなければならないかと思うと、さらに落ち込んでしまいます。ものすごくがんばれば、住む場所を変えることも出来るかとは思いますが、そこまでの精神的なエネルギーもまったく持てません。これからの年月、気の持ち方をどう変えれば、私のこの天気に気持ちが左右される性格を明るく保っていけるでしょうか。雨がまったく気にならないという方もいらっしゃるとたまに聞きますが、非常にうらやましいです。また、SADになっているかいないかの基準やその対処法、処方薬で治すのが良いのか、また、軽度のSADの場合、医師の力を借りずに対処して治すことも可能なのかなど、具体的に教えていただければと思います。
回答:毎年決まった時期に(ほとんどが秋から冬にかけて)気分が落ち込み気味になり、元気がない、睡眠時間が長くなる、食べ過ぎるなどの症状を伴うのが SAD(Seasonal Affective Disorder)で、春になるとその症状から解放されます。季節的な雇用で冬は仕事がない人や、冬はあまりクラスがない学生など、季節的な環境の違いで精神的な影響を受ける場合はSADではありません。SAD はうつ状態の一種ですので、日常の生活に支障が出てきた場合は、抗うつ剤などの投薬治療やカウンセリングが必要です。
あなたは、夏場には趣味があり気持ちが沈むことが比較的少なくなる、と言われていますが、それは「夏は天気がいいので少しは気持ちが晴れる」ということでしょうか? もしそうだとすると、SAD だからと冬場だけ投薬治療しても、根本的な解決にはならないかもしれません。ここ数年のうちにあなたの人生に何が起きたか、なぜ年を追うごとに気持ちが沈んできたのかを考えてください。どういった事情でシアトルに住んでいらっしゃるのかわかりませんが、あなたの文面からは、なんとなく「自分の意志ではない」という感じがします。昔から「衣食住足りて礼節を知る」と言われているように、住む場所は人間の精神に大きく影響します。例えば、冬はほとんど夜のアラスカにいても、あなたが大好きなことをして毎日が充実しているとしたら、暗さも寒さも苦にはならないでしょう。現在のシアトルでの生活はどうでしょうか?
生活には不自由していないからといって、それで人間は幸せにはなりません。趣味があってもまだ十分ではないのです。社会とのつながり、様々な人とのつながりはありますか? シアトルに住み続けるなら、この土地で気晴らし程度のものでなく、あなたが打ち込めるもの、好きなこと、やりたいこと、それをやっていると周りのことも天気も気にならないものを見つけてください。そして、今の生活であなたの気分を沈ませる原因を追求してください。根底にある原因を解決すること、そしてシアトルで楽しいもの好きなものを見つけることで、きっと「あ、そういえば雨だった」という日が来ると思います。
掲載:2003年2月
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