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アメリカで企業が人材育成に注目する理由とは?ポスト Great Resignation 時代の対策と重要性

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急速に変化する今日のビジネス環境では、継続的な学習とスキルアップが企業の競争力を保つ鍵となります。雇用主が従業員の成長を促し続けることが、組織全体の成功につながっていくからです。

そこで今回は、トレーニングと開発の重要性について解説し、従業員の未来に投資するための具体的な手法をご紹介します。

もくじ

トレーニングの目標を立てる

トレーニングは、その内容が包括的なビジネスの目標と一致しており、それに貢献する場合に、効果を発揮します。

また、トレーニングは、従業員のパフォーマンス目標と同じく、企業の目的にあったものでなくてはなりません。

例えば、製造チームのリーダーに「アメリカ文学史」を学ばせても意味がないことはおわかりいただけるでしょう。

適切な人材育成によって得られる最も代表的な効果は、次の通りです。

従業員エンゲージメントの向上: 企業が従業員の成長に投資することは、従業員に対してその価値を認め、尊重しているメッセージとなる。これは、従業員のモチベーションやエンゲージメントを高め、離職率の低下にも寄与する。

組織全体のパフォーマンス向上:従業員一人ひとりが自分の役割を効果的に果たすことができれば、チームの連携が強化され、生産効率が向上する。また、従業員が多様なスキルを持つことで、問題解決能力や創造性も高まる。

トレーニング予算を確保する

トレーニングの費用は、業界、従業員数、戦略目標、育成するスキルによって異なります。

給与に対する割合(給与の5%程度)で計算するか、従業員1名あたりで計算して、予算を確保します。同業他社が費やしている金額をベンチマークとして調べるのも一案です。

2022年に実施されたSHRM(米国人事マネジメント協会)とTalent Lms(学習プラットフォーム)との共同調査で、企業のトレーニング予算が明らかになりました。

この調査結果を見ると、1名あたりの予算は$500~$3,000がボリュームゾーンであることがわかります。これを高いと考えるか、低いと考えるかは、企業によって異なると思いますが、確実に言えることは「採用コストよりも安い」ということです。

トレーニング効果を測定する

トレーニング効果を考える際に重要なことは、「何をもって成果とするか」という点です。つまり、トレーニングの前後に的確な評価を行い、受講後に何が改善されて、改善された結果がどのように業務に反映されたかを比較する調査を行うことが極めて重要です。その結果によって初めてトレーニング効果の測定が可能となります。

なお、上記で述べた通り、トレーニングで期待できる効果は、業務パフォーマンス、生産効率の改善、従業員モチベーションやエンゲージメントの向上などであり、直接的・短期的な財務効果が少ないことも理解しておく必要があります。

トレーニングの効果を測定する方法には、次のようなものがあります。

事前・事後評価:トレーニングの前後で知識やスキルのテストをする。

実績データの分析:トレーニング対象者の業績指標(例:売上、顧客満足度、生産性など)をトレーニングの前後で比較する。

行動の変化:管理職や同僚からの観察を通じて、トレーニング後の行動の変化を記録する。

トレーニングの内容

トレーニングには、技術および知識など業務に直結した内容のトレーニング(ハードスキル)と、ソフトスキルと呼ばれる対人関係やコミュニケーション、自己管理に関連するトレーニングがあります。

ハードスキル

技術や知識の不足する従業員に対するトレーニングは、比較的簡単に実施できます。自社製品についてのトレーニングでよく使われるのは、既存のカタログや知識のある従業員による解説などです。勉強会などを録画しておけば、次回からは効率よくトレーニングを実施できます。

一般的な業務知識であれば、オンラインでの受講もできます。玉石混交なので見極めることが必要ですが、雇用主としてはさほど時間とコストをかけずにトレーニングすることが可能です。

ソフトスキル

ソフトスキルに関しては、トレーニングを実施している企業は少ないように思います。意外に多いのが、管理職が過去に一度も管理職研修を受けていない企業です。これでは、適性のある人材はともかく、以前のポジションでパフォーマンスが良好だったという理由で昇進した場合、研修がなければ管理職としての役割が理解できず、期待はずれになることも起こりえます。

知識があることと実践することは異なるため、ソフトスキルの習得はオンラインでは困難です。また、相手の性格を見極めながら意思伝達を図るように、管理職にも自分の性格に合ったリーダーシップの取り方があります。人を型に当てはめることなどについて賛否両論はありますが、管理職が自身のスタイルを知っておくことは、部下を管理する上で役に立ちます。

トレーニングは、従業員や組織への投資です。とりあえず受講させて何かを期待するのではなく、体系的に効果を測定しながら実施することが肝要です。また、どの従業員に何のトレーニングを受講させるかだけでなく、トレーニングを受講する従業員や部署に偏りがないかも確認する必要もあります。

総合人事商社クレオコンサルティング
経営・人事コンサルタント 永岡卓さん

2004年、オハイオ州シンシナティで創業。北米での人事に関わる情報をお伝えします。企業の人事コンサルティング、人材派遣、人材教育、通訳・翻訳、北米進出企業のサポートに関しては、直接ご相談ください。
【公式サイト】 creo-usa.com
【メール】 info@creo-usa.com

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