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アメリカの管理職必読!否定的なフィードバックを効果的に伝える方法

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職場において、従業員にネガティブなフィードバックをしなくてはならない場合があります。日常業務におけるパフォーマンスの低下や規則違反、懲戒処分に関わるミーティングなど、さまざまな場面で適切なフィードバックが必要だからです。今回は、そんなネガティブなフィードバックを効果的に伝える方法をご紹介します。

フィードバックが与える影響

管理職の多くは部下を指導する立場にありますが、常に良いことばかり伝えるわけにはいきません。「できれば、ネガティブなフィードバックをすることは避けたい」と考える管理職も少なくありませんが、「時間が経過すれば、本人が気づいて改善するだろう」という期待は、多くの場合、裏切られることになります。

イスラエルのヘブライ大学教授 Avi Kluger 氏 とアメリカの経営学者Angelo DeNisi氏のフィードバック介入理論によると、フィードバックがパフォーマンスの向上につながるのは1/3程度、何の効果もないことが1/3程度、パフォーマンスの低下につながるものは1/3程度です。

複雑なタスクや困難な課題、不慣れな職務を行っている従業員にフィードバックを与えると、うまく機能しないことも判明しています。タスクが複雑または不慣れな場合、間違っているところを伝えることで、目の前のタスクに集中する代わりに、自分のイメージを守ること(能力がないと見えないようにすること)に多くのエネルギーを傾けることになり、結果としてパフォーマンスが低下するからです。

しかし、このような状況にこそ、管理職はフィードバックを与える必要があります。不適切なフィードバックは反感を買ったりモチベーションが低下したりする危険性がある反面、適切なフィードバックは「貴重なアドバイス」として受け取られ、従業員自身の成長機会になります。

では、どのようにすればフィードバックをパフォーマンスの向上につなげられるのでしょうか。

問題行動の基本対応

まず、問題を発見したら、できるだけ早く指摘することが重要です。時間が経過するほど、従業員は何が問題だったのかを正確に理解できず、改善の機会を逸してしまいます。

また、抽象的なフィードバックや批判は極力避け、問題の具体例を提示しつつ、改善への具体的ステップを提案するべきです。改善に向けた道筋が明確であるほど、従業員も積極的に取り組むことができます。

このため、事実に基づいた具体的データや実例を事前に整理し、相手のパフォーマンスを客観的に評価しておくことが必要です。また、相手がリラックスできる環境で、余裕を持って話ができる時間を選ぶことも重要です。たとえば、プロジェクトの締め切り直後や、多忙な時期は避けることが望ましいです。

懲戒ミーティングでの対応

懲戒に関するミーティングは、誰にとっても緊張を伴いますが、適切なアプローチを取ることで、従業員との間に建設的な対話が生まれます。

まず、ミーティングの目的を明確に伝え、具体的な問題点を示すことから始めます。曖昧で婉曲的な表現は避け、具体的な事例を明確な言葉で伝えます。例えば、「あなたは期待に応えていません」といった抽象的表現ではなく、「〇件の顧客に提案する目標に対して、〇件しか提案されていません」「月内〇%のプロジェクト進捗に対し、〇%の遅れが生じています」「A社への見積もりとB社への提案書に xx といったミスがありました」というように、具体的数値や実例を含めた指摘が必要です。

ミーティングは、一方的に問題点を突きつける場ではなく、部下との共同作業と考えるべきです。相手にも話す機会を必ず与え、彼らの視点や問題も把握することで、より実効性のある解決策を見つけることができます。

期待される成果の明確化

問題点を共有した後は、今後期待される成果や改善点を明確に伝えます。間違いを指摘するだけでは改善しません。モチベーションを維持するためにも、未来に向けた行動計画にシフトさせることは効果的です。成功の基準や次のステップを明示し、従業員が自ら行動を改善できるようサポートします。

例えば、「今後3ヶ月間、すべてのプロジェクトで締め切りを遵守すること」を目標とします。そして、従業員が直面している問題点を聞き出し、どのように支援できるか話し合います。また、進捗状況を確認するための定期ミーティングを設定することは、継続的な改善に繋がります。

まとめ

ネガティブなフィードバックを適切に伝えることは決して簡単ではありませんが、お互いに共感を持って、明確な目標を設定し、従業員をサポートする姿勢を示すことで、パフォーマンス改善を促進することができます。また、部下それぞれの状況に応じた個別のアプローチを取ることが成功への鍵となります。

総合人事商社クレオコンサルティング
経営・人事コンサルタント 永岡卓さん

2004年、オハイオ州シンシナティで創業。北米での人事に関わる情報をお伝えします。企業の人事コンサルティング、人材派遣、人材教育、通訳・翻訳、北米進出企業のサポートに関しては、直接ご相談ください。
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