2021年に米国企業透明性法(Corporate Transparency Act:CTA)が制定され、2024年1月1日に施行されたことにより、米国のほとんどの事業体は、米国財務省金融犯罪捜査網(The Treasury Department’s Financial Crimes Enforcement Network:FinCEN)に、実質的所有者情報(Beneficial Ownership Information)を開示することが義務付けられています。
開示期限
実質的所有者情報(Beneficial Ownership Information)の開示期限は次のとおりです。
- 2024年1月より前に法人登録をした事業体:2025年1月1日まで
- 2024年1月から2025年1月に法人登録をした事業体:企業登録後90日以内
- 2025年1月以降に法人登録をした事業体:登録後30日以内
情報開示の対象となる事業経営者
情報開示の対象となる事業経営者は、事業の25%以上を所有しているか、事業の運営を管理・支配している人です。
事業経営者の支配度を決定するには、”Substantial Control Test” が採用されます。
情報開示が義務付けられる事業体
情報開示が義務付けられる事業体は次のとおりです。
- 一般法人(Corporations)
- 有限責任会社(Limited Liability Companies)
- 州務長官に登録されている、すべての事業体
- 海外に登録されているが、米国内で外国企業または子会社として運営している事業体
情報開示が義務付けられていない事業体
例外として、情報開示を義務づけられていない事業体もあります。ここでは、23個の例外のうち、主なものをご紹介します。
- 会計事務所
- 免税許可のある事業体
- 休止中の事業体
- 個人事業主
情報開示の際に必要な事業経営者の情報
情報を開示する際に提供する必要のある事業経営者の情報は、次のとおりです。
- 氏名
- 生年月日
- 住所
- ID (運転免許証やパスポートなど)
登録後に情報が変更した場合、30日以内に実質的所有者情報(Beneficial Ownership Information)の変更を行うことが義務付けられています。
情報の変更、義務を怠った場合の処罰
これらの報告・開示を怠ると、民事上の罰金として上限1日$500が課されます。また、刑事上では2年間の禁固刑と上限$10,000の罰金が課されます。
実質的所有者情報は、米国財務省金融犯罪捜査網(The Treasury Department’s Financial Crimes Enforcement Network:FinCEN)の公式サイトで登録してください。
シャッツ法律事務所
弁護士 井上 奈緒子さん
Shatz Law Group, PLLC
www.shatzlaw.com
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