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第138回 日本とワシントン州に関わる離婚の法的手続きの管轄地について

ワシントン州での離婚の法的手続きの基本について、「第74回 ワシントン州における離婚手続きについて」で紹介しました。離婚の法的手続きは、結婚した場所、結婚生活をした場所、結婚生活中に得た財産・不動産のある場所、子どもが住んでいる場所などによって異なります。今回は、離婚の法的手続きの管轄地について、主なパターンを簡単にご説明します。

日本人同士が日本で結婚し、子供が日本で生まれたが、その後、ワシントン州に移住して住んでいる場合

日本人同士が米国で結婚し、その後、子どもが米国で生まれ、ほとんどの結婚生活と育児をワシントン州で行っていた場合

仮に日本人同士が日本で婚姻届けを提出せず、米国の市民権を保持していなくても、ワシントン州の裁判所が離婚に関する管轄権を持ち、上記の養育費(child support)、育児計画(parenting plan)、扶養家族手当、共同財産の分配についての規定に従って、離婚が成立します。

日本人と米国人が米国で結婚し、日本に婚姻届を提出せず、子どもが米国で生まれ、ワシントン州で育児をし、婚姻中に得た財産がワシントン州にある場合

日本人と米国人が米国または日本で結婚し、子どもが生まれ、その後、米国人の配偶者をワシントン州に残し、日本人の配偶者が子どもと日本で住み続けた場合

日本人と米国人が日本で結婚し、主に日本で生活し、日本または米国のどちらかで生まれた子どもを日本で育て、アメリカ人の配偶者がかつて結婚生活をしたことのあるワシントン州で離婚申請をした場合

いずれにしても、市民権に関係なく、子どもの居住地、共同財産のある場所、夫婦の居住地によって、米国と日本のどちらが離婚を管轄する権利があるかが決定されます。

米国と日本のどちらにも管轄権があるとみなされた場合、通常、最初に離婚申請・手続きをした側、国、または州が、管轄権を持つことになります。

夫婦のどちらかがワシントン州に住んでいれば、ワシントン州裁判所が管轄権を得ることが可能です。

さらに、子どもの監護権の決定に際しては、通常は子どもが過去6カ月間に住んでいた場所によって、監護権を管轄する州が決定されます。なお、離婚の管轄権と子どもの監護権が別々に決定されることもあります。

共同財産の分配については、仮に財産が米国外にあっても、夫婦と子どもの居場所が管轄権を決める大きな要素となります。したがって、ワシントン州が日本の共同財産を分配することもあります。

シャッツ法律事務所
弁護士 井上 奈緒子さん
Shatz Law Group, PLLC
www.shatzlaw.com

当コラムを通して提供している情報は、一般的、及び教育的情報であり、読者個人に対する解決策や法的アドバイスではありません。 読者個人の具体的な状況に関するご質問は、事前に弁護士と正式に委託契約を結んでいただいた上でご相談ください。

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