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第120回 社会秩序(Public Policy)に反した解雇とは?

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第4回のコラムでご説明したように、米国のほとんどの雇用契約では Employment at Will を採用しています。

これは、終身雇用であると同時に、理由があるか否かにかかわらず、雇用者は従業員を自由に解雇できるという意味ですが、例外として、不当な理由での解雇は違法とされています。

不当な理由とは、以下のとおりです。

  1. 市民的権利に違反する解雇
  2. 社会秩序に反する解雇
  3. 契約違反による解雇
  4. 職場で起きた不法行為による解雇

今回は、2の社会秩序に反する解雇について、もう少し詳しくご説明します。

まず、社会秩序に違反する行為とは、以下のようなものが挙げられます。

a) 従業員が違法行為を避けるために雇用者の指示に従わず、解雇された場合
b) 従業員が職場以外で公的義務を果たすために欠勤したために解雇された場合
c) 従業員が雇用者に正当な理由で不服を申し立てたり、雇用者からの差別から逃れようとしたり、労災補償や残業代等の支払いを求めたために解雇された場合
d) 職場での不法行為を通告したために解雇された場合

例えば、就労ビザを取得していない従業員に、雇用者が最低賃金を下回る支払いをし、従業員が最低賃金の支払いを求めたところ解雇された場合があります。仮に従業員が違法滞在・就労していたとしても、移民法と雇用法は別の法律で、移民法違反を理由に雇用法違反が許されるという解釈は合法とされません。

また、従業員が要求したにもかかわらず、雇用者が時給の1.5倍にあたる残業手当の支払いを怠った場合も該当します。

さらに、Me Too Movement でも取り上げられているように、職場でセクハラがあり、セクハラにあった従業員が上司や雇用者に抗議をしたために解雇されたり、また、それを目撃した従業員がセクハラを雇用者に報告したところ、雇用者はセクハラの加害者を守るため、報告した従業員を解雇した場合なども該当します。この解雇された通告者の行為は Whistle-Blower Activity といって、社会秩序を守る合法行為とされています。

上記のような理由で従業員が雇用者を相手に提訴する場合、まず、Prima Facie Case といって、従業員は雇用者の不法行為を証明しなければなりません。それに対して、雇用者には従業員の主張が間違っていると証明することが求められます。法的解釈や基準の判定は裁判官が行うのに対し、このような事実関係の争議解決は陪審裁判であれば陪審員が判定し、非陪審審理が選択されれば裁判官が判定します。

シャッツ法律事務所
弁護士 井上 奈緒子さん
Shatz Law Group, PLLC
www.shatzlaw.com

当コラムを通して提供している情報は、一般的、及び教育的情報であり、読者個人に対する解決策や法的アドバイスではありません。 読者個人の具体的な状況に関するご質問は、事前に弁護士と正式に委託契約を結んでいただいた上でご相談ください。

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