第84回で競業避止条項(契約)について簡単にご説明しましたが、2019年に入って大幅修正法案が提出され、同年5月8日にワシントン州知事が承認し、2020年1月から RCW49.62 が施行されることになりました。
大幅な変更があるため、従業員に競業避止条項(契約)を含む雇用契約に署名させている雇用主は、下記の内容に従って雇用契約書の内容を変更するかどうかを判断する必要があります。
主な変更点は次のとおりです。
- 雇用契約を結ぶ前に競業禁止契約を結ぶことが条件であることを、求職者に書面で通知すること。
- 業務を開始してから雇用契約に競業禁止条項を追加する場合は、従業員に付加価値を与えること。
- 年収が100,000ドル未満の従業員については、競業禁止契約は無効であること。
- 従業員をレイオフする場合は、競業禁止契約期間が終了するまで、または従業員が新しい就職先で業務を開始するまでの間、雇用主が給料を支払わなければ、競業禁止条項は無効となること。
- 競業禁止契約に関する法廷や調停での紛争解決の際、18ヶ月以上の期間を競業禁止とする場合は、雇用主は18ヶ月以上の期間がビジネスを守るために必須であることを証明しなければならない。
- 年収が250,000ドル以上に達しない Independent Contractor(独立経営者)に対する競業禁止契約は無効であること。
- ワシントン州在住の従業員と競業禁止契約書をワシントン州外で交わし、また、ワシントン州外で裁定されることを規定した雇用契約書は無効であること。
- 収入が最低賃金の200%以下の従業員に対して他の職業に就くことを禁止する条項を設けることは禁止。
- 裁判所が競業禁止契約が法に反していると判断した場合は、雇用主は従業員に実際の被害額、または5,000ドルの罰金を支払うことに加え、弁護士費用と訴訟にかかった費用を支払うこと。
- 裁判所が競業禁止条項(契約)を修正することになった場合は、雇用主は従業員に対して損害額、または5,000ドルの罰金に加え、弁護士費用と訴訟にかかった費用を支払うこと。
シャッツ法律事務所
弁護士 井上 奈緒子さん
Shatz Law Group, PLLC
www.shatzlaw.com
当コラムを通して提供している情報は、一般的、及び教育的情報であり、読者個人に対する解決策や法的アドバイスではありません。 読者個人の具体的な状況に関するご質問は、事前に弁護士と正式に委託契約を結んでいただいた上でご相談ください。