2010年にオバマ大統領によって患者擁護および医療費負担適正化法(Patient Protection and Affordable Care Act)が法制化されました。これは一般的にオバマケア(Obama Care)と呼ばれる医療保険制度改革(Health Care Reform)で、2014年より施行されています。
これにより、健康保険に加入していた国民は2013年にはわずか15%だったのに対し、 この法律を通じて個人の自己負担を減らすことにより、国民の95%が健康保険に加入できると見込まれています。
さて、オバマケア (ACA)の援助の一つとして、中小企業の雇用者・非雇用者、個人事業者に対するEssential Health Benefitsと呼ばれる最低限の健康保険の給付があります。約10種類あるEssential Health Benefitsを含んでいた保険会社は、オバマケア (ACA) が承認される2010年以前には2%以下でしたが、現在 はすべての保険会社にこれを含めることが義務づけられています。
- Ambulatory patient services
- Emergency Services
- Hospitalization
- Maternity and newborn care
- Mental health services and addiction treatment
- Prescription drugs
- Rehabilitative services and devices
- Laboratory services
- Preventive services
- Pediatric services
オバマケアでは、大人(19歳以上)に対しては歯科と眼科の治療に関わる保険を義務づけていませんが、 小児科については歯科と眼科の治療に関わる保険を義務づけています。小児科の対象となるのは19歳未満の国民で、予防注射を含む基本医療サービスに加え、歯科と眼科治療も含まれます。歯科に関しては、年2回のクリーニング、レントゲン、眼科に関しては年1回の定期検査、眼鏡とコンタクトレンズが含まれます。
なお、中小企業の経営者や個人事業者等を含む19歳以上の国民に関しては、上記の歯科と眼科治療の保険に加入することは義務付けられていませんが、もし現在加入している保険に加えてオバマケアの恩恵を受けることを希望する場合は、利点と相違を検討したうえで加入することが勧められています。
さらに、50名以上の従業員を持つ企業の被雇用者とその扶養家族に関しては、オバマケア(ACA)で規定されているEssential Health Benefits に加入する必要はありませんが、企業自体がそれに相応する、最低限の健康保険、つまりMinimum Essential Coverage を被雇用者に保証する必要があります。このMinimum Essential Coverageには歯科と眼科に関する保険は含まれませんが、Minimum Essential Coverageを怠った場合は、2015年から罰金を課される可能性があります。
シャッツ法律事務所
弁護士 井上 奈緒子さん
Shatz Law Group, PLLC
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