今回は、ワシントン州で2022年1月から施行される長期介護保険制度についてご説明します。
ワシントン州では、2021年の議会で Long Term Care Trust Act が可決され、2022年1月から正式に施行されることになりました。
- RCW 50B.04. Chapter 50B.04 RCW: LONG-TERM SERVICES AND SUPPORTS TRUST PROGRAM (wa.gov)
- wa_state_ltc_trust_act.pdf (ltcinsuranceconsultants.com)
ワシントン州の長期介護保険制度とは
ワシントン州で働く従業員は、この長期介護保険の加入資格を放棄する書類を提出しない限り、給与額にかかわらず、2022年1月から「納税後の手取りの金額の0.58%」が保険料として自動的に差し引かれます。
例：
年収50,000ドル 年間払込保険料302ドル
年収100,000ドル 年間払込保険料580ドル
年収200,000ドル 年間払込保険料1160ドル
この公的介護保険に加入すると、2025年1月から長期介護保険の支払いを受けることができます。
長期介護保険の支払い限度額は1人あたり36,500ドル、1日につき100ドルまでに設定されています。
ワシントン州の長期介護保険の長所と短所
この長期介護保険は、比較的収入が低く、ワシントン州に一生住む予定の方には利益があります。
しかし、給料にかかわらず支払いのレートが「給与額 x 0.58%」と決定されていること、納めた金額に関わらず1人に対する支払い限度額は36,500ドル、1日につき100ドルまでに設定されていること、この金額は将来必要になると推定される介護費用よりもはるかに低いと思われること、将来保険の支払いを受ける資格があるのはワシントン州の住人に限定されることから、ワシントン州に将来住む予定のない人や、収入の多い人、1日100ドル以上の長期介護の支払いを受ける必要のある人には問題があると言われています。
加入条件とその方法
この長期介護保険に加入するには、次の条件を満たす必要があります。
- 保険からの支払いを受ける際にワシントン州に住んでいること
- 10年間の勤務期間の間に5年以上の中断なしに保険料を支払うこと、または給付申請時に過去6年間のうち3年間は保険料を支払うこと
- 1年に最低500時間は就労していること
- 18歳以上であること
加入資格を放棄する条件とその方法
この長期介護保険の加入資格を放棄したい人は、次の条件を満たす必要があります。
- 2021年11月1日までに、他の介護保険に加入していること
- その介護保険の条件がワシントン州の公的介護保険の条件よりも良いと証明できること
- 自営業者、1099で確定申告する独立契約者、または、団体交渉によって加入資格の放棄を認められた従業員であること
ワシントン州は下記のページで現時点での資格放棄に関する申し込み方法案を提案しています。なお、資格放棄についてはいまだ州で明確な規定がないため、これからも若干変更される可能性があります。
職業安定所での資格放棄の申し込みは、2021年10月1日から2022年12月31日まで受け付けられます。資格を放棄したことが州に承認されれば、その日から放棄することができますが、承認されるまでに支払った保険料は返金されません。
シャッツ法律事務所
弁護士 井上 奈緒子さん
Shatz Law Group, PLLC
www.shatzlaw.com
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