第137回のコラムでワシントン州の長期介護保険制度の導入が延期されたことをお伝えしましたが、その後、州議会で可決された改正案に州知事が署名しました。
これにより、今年7月1日から保険料の徴収が開始されます(改正案の執行)。
保険料の徴収方法
雇用主は、従業員の給与から年に4回、四半期毎に徴収します。
支給金の受給
2026年7月から受給が可能になります。最大の受給額は$36,500とされています。
長期介護保険制度の主な改正点
改正案では、下記の従業員は条件つきで適用除外(納税対象外)となります。
- ワシントン州の企業に勤務しているが、ワシントン州に居住していない従業員
- 軍務により70%以上の障害を負った退役軍人の従業員
- 現役軍人の配偶者の従業員
- 非移民ビザで就労する従業員
いずれにしても、従業員は納税の対象外とされるためには申請書を提出し、対象外であるという証明を雇用者に提出する必要があります。従業員がその証明を提出するまでは、雇用者はすべての従業員を課税対象とすることが義務づけられています。
さらに、1968年以前に生まれた従業員は課税された額の10%の返金を受けることができます。例えば、1968年以前に生まれた従業員が4年間納税した場合、最大の受給額$36,500の40%を受け取ることができます。
しかしながら、これらの改正にも関わらず、現在も解決されていない問題がいくつかああります。例えば、通常、納税を10年間、最低でも年間500時間就労しないとこの法律の恩恵を受けられないにも関わらず、退職を迎えようとする従業員は対象外となっていません。また、退職後もワシントン州に住んでいなければ恩恵を受けることができないため、退職後にワシントン州に住み続ける予定ではない方は対象外とされるべきですが、現在はそうなっていません。これらの問題は今後2~3年の間に州議会で改めて審議されると見られます。
シャッツ法律事務所
弁護士 井上 奈緒子さん
Shatz Law Group, PLLC
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