このコラムの対象は、配偶者のビザ保持者です。H-1Bビザ保持者の配偶者はH-4ビザ、L-1ビザ保持者の配偶者はL-2ですが、Eビザの場合、メインのEビザ保持者と配偶者のビザは同じです。例えば E-1ビザ保持者の配偶者には E-1ビザが、E-2ビザ保持者の配偶者には E-2ビザが発行されます。
就労が可能な配偶者ビザ
配偶者用のEビザおよびL-2ビザ保持者は、アメリカで就労することができますが、ビザを取得したことによって自動的に就労が認められる訳ではありません。
就労が認められるには、入国後、移民局で就労許可を申請し、EAD(employment authorization document)と呼ばれる就労許可証を取得する必要があります。
以下の条件を満たすことができるH-4ビザ保持者も、同じように、移民局による EAD の発行を経て、就労することが可能です。
- 配偶者であるH-1Bビザ保持者が、すでに認可されている雇用による移民ビザ申請の受益者である、または、
- 配偶者であるH-1Bビザ保持者が、American Competitiveness in the 21st Century Act of 2000 (通称AC21)の106条(a)項および(b)項の基で、6年目以降の H-1B 滞在の延長が許可されている。これは、AC21の106条(a)項および(b)項のもと、H-1Bの満期である6年を超えた状態で、それ以降もH-1Bビザ保持者としてアメリカに滞在し、就労ができる状態にあるH-1Bビザ保持者のことです。
以上の通り、E と L ビザの配偶者は誰もが就労許可を申請することができますが、H-4ビザ保持者の場合には、上記の条件を満たすことができる方のみが、就労許可を申請することができます。
また、EAD 取得後の H-4、E、まはたL-2ビザ保持者は、雇用者に拘束されないオープン・マーケットでの就労が可能です。日系企業でなければならない、特別なスキルが必要な職でなければならない、特定の分野での学位を取得していなければならない、といった決まりはありません。
現状のルールはこの通りですが、11月22日に出版された政策ガイダンスでは、E・L-2・H-4ビザ保持者の就労に関して、主に2つのルールについて改正されることが発表されました。
自動延長(Automatic Extension)
E・L-2・H-4ビザ保持者の就労許可は、以下の2つの条件を両方満たすことができる場合に限り、有効な滞在期限まで、就労許可更新申請の結果が出るまで、あるいは現在有効なEADの有効期限が切れてから最長180日のうち、どちらか短い期間に限り、自動的に更新されます。
- E・L-2・H-4ビザ保持者が、現在有効な EAD の有効期限が切れる前に更新を申請している。
- E・L-2・H-4ビザ保持者の滞在期間(I-94)が有効である。
EとLビザ保持者の配偶者は、EAD が必要なくなる
今回の改正の中でも最も重要なのが、E と L ビザ保持者の配偶者の EAD に関することです。
上述の通り、E と L ビザ保持者の配偶者はアメリカでの就労が認められていますが、就労はビザ・ステータスに付随していないため、入国後、移民局で就労許可申請を行い、就労許可証を取得して初めて就労が可能になるというのが、従来のルールでした。
しかし、今回の政策ガイダンスによると、今後、E と L ビザの配偶者の就労は、ビザ・ステータスに付随しているものとする、従って、有効な E または L-2ビザ保持者は、アメリカ入国後、就労許可を申請することなく、自動的に就労が可能になります。
なお、この新しいルールに、H-4ビザ保持者は該当しません。よって、H-4ビザ保持者がアメリカで就労するためには、今後もEAD が必要となります。
今回の改正が実施される日は未確定
この政策は、発表のあった日から施行されますが、現実的には、移民局が E と L ビザ保持者の配偶者が就労可能であることをシステムに反映させる必要があります。移民局は、すぐに実行に移ると公言しているものの、いつまでにといった具体的な日付は発表されていません。
また、実際のところ、就労を開始する際、労働者は合法的に就労が可能であることを証明するために Form I-9に記入し、雇用主は労働者が合法的に就労が可能であることを記した書類を確認しますが、現状では、E や L-2ビザ保持者が就労する場合、有効な EAD が就労が可能なことを証明できる唯一の書類となります。システムがアップデートされた後は、E または L ビザ保持者の配偶者である事実記されたI-94が、合法的に就労できる証拠になります。
コラムを通して提供している情報は、一般的、および教育的情報であり、読者個人に対する解決策や法的アドバイスではありません。また、移民法は頻繁に改正があります。提供している情報は、掲載時に有効な情報です。読者個人の具体的な状況に関しては、米国移民法の弁護士にご相談ください。