アメリカでは、雇用に基づいてグリーンカード(米国永住権)を申請することができます。今回は、アメリカで働く外国人の多くが該当するEB-3というカテゴリでの申請の基本についての基本的な流れをご紹介します。
申請の基本的な流れ
雇用に基づくグリーンカード申請は、外国人労働者の能力や学歴・経歴によって主にEB-1からEB-5と5つのカテゴリに分かれています。雇用に基づくグリーンカードの年間発給数は約140,000件と定められており、さらに、カテゴリ別に年間発給数が設定されています。
申請基準はカテゴリによって異なりますが、外国人労働者が専門分野でトップレベルに達した極少数の傑出者である場合や、能力や技術がアメリカにとって有益である場合など一部の例外を除いて、スポンサー企業が必要で、該当職種(オファーされている仕事)の人材がアメリカ国内で不足していることを証明しなければなりません。
個々のケースの状況によって多少異なりますが、アメリカで働く外国人の多くは、EB-3と呼ばれるカテゴリに該当します。このカテゴリは、学士号を持つ専門職者もしくは最低2年の職務経験が必要な仕事に従事する労働者が対象となります。基本的に次の3段階で行われます。
- 労働認定証申請(PERM)
- 雇用ベース移民ビザ申請
- グリーンカード申請
ステップ 1:PERMによる労働認定証(レイバー・サティフィケーション)申請
永住権申請の第一ステップとなる労働認定証の申請は、PERM(Program Electronic Review Management)と呼ばれます。
PERM申請では、該当職種(オファーされている仕事)がアメリカ国内で人材不足していることを証明します。
スポンサー企業は「求人募集活動を行った結果、アメリカ市民やグリーンカード保持者である求職者の中には適格な人材 (役職に最低必要な条件を満たし、能力、意欲を持った人材)がいない」ことを証明しなければなりません。
なぜなら、PERM申請の目的は、アメリカの労働者を保護することだけでなく、不正な労働条件から外国人労働者を保護することでもあるからです。
そのため、まずは、Prevailing Wage と呼ばれる平均賃金の決定を労働省に求める必要があります。労働省は、雇用地域、特定の職種や職務内容、最低条件をもとに、Prevailing Wage を決定します。この額が、雇用主がグリーンカード取得後に外国人労働者に支払わなければならない給与額となります。
また、スポンサーとなる雇用主は、さまざまな求人募集活動を通じて、アメリカの労働市場をテストしなければなりません。正当な求人プロセスを通して、応募者の履歴書を確認したり、必要に応じて面接を実施します。また、求人活動の内容も詳細に記録しなければなりません。求人活動の結果、最低条件を満たし、能力、意欲を持つアメリカの労働者が見つからなかった場合、雇用主はPERM申請書を提出します。このPERMを申請した日が申請のPriority Date(優先日)となります。
ステップ 2:雇用ベース移民ビザ申請
このステップでは、(1)PERM申請が認可されたこと、(2)スポンサー企業が労働省に提出した最低給与額を支払う能力があること、そして、(3)外国人労働者が学士号、もしくは経験など、ポジションの申請条件を満たしていることを証明します。
ステップ 3:グリーンカード申請
雇用を通じてグリーンカードを取得する場合、H-1Bビザと同様に、年間発給数に上限があります。
年間発給数は、カテゴリ別に設定されており、年間発給数が上限に到達したカテゴリの申請には、ウェイテリング・リストが作成され、グリーンカードの発給が翌年、またその翌年と先送り状態になります。そうなると、申請者は、Priority Date の順番に従って自分の番が回って来るまで、グリーンカードを取得することができません。ただし、この日付は、突然年単位で動いたりすることがあるので、動向に注意する必要があるでしょう。
Priority Date は国務省の Visa Bulletin で確認することができます。雇用ベース移民ビザ申請が認可され、グリーンカード申請における優先順位(Priority Date)が現行になったら、もしくは当局が指定する申請へ進んでよい時期になったら、グリーンカードを申請します。
この申請の目的は、外国人の健康状態・犯罪歴・経済力を含む総合的なバックグラウンドの審査を行うことです。国内で行う申請はステータス変更申請(Adjustment of Status)といい、アメリカ国内で非移民ビザ保持者(例: H-1B)から永住権保持者へステータスを変更する手続きです。アメリカ国外で行う申請は米国大使館手続き(Consular Processing)といい、アメリカ国外でグリーンカードを取得する手続きです。どちらの手続きも目的はグリーンカードを取得することですが、申請方法や期間、料金、適用する法律が異なります。
コラムを通して提供している情報は、一般的、および教育的情報であり、読者個人に対する解決策や法的アドバイスではありません。また、移民法は頻繁に改正があります。提供している情報は、掲載時に有効な情報です。読者個人の具体的な状況に関しては、米国移民法の弁護士にご相談ください。