サイトアイコン junglecity.com

2023年2月:H-1Bビザ労働者が解雇された場合

最近、メタ、アマゾン、ツイッター、マイクロソフトといった大手テック企業で大量解雇が相次いでいます。

失業は誰にとっても辛いことですが、H-1Bビザ労働者が解雇された場合、ビザの問題が重なるので、失業によってストレスや不安を抱える方も多いと思います。

今回のコラムでは、解雇後のH-1Bビザ労働者のオプションについてお話します。

解雇後の猶予期間は最大60日

米国移民法では、承認されている滞在有効期間より前に雇用が終了したH-1Bビザ保持者に対して、雇用終了から最大60日の猶予期間(Grace Period)が与えられています。

この猶予期間は、解雇された日からスタートします。ただし、承認されている滞在有効期間が60日よりも短い場合は、滞在有効期間の満期までが猶予期間となります。

例えば、1月30日に解雇されたH-1Bビザ労働者の滞在有効期間が2月15日で終了する場合、この労働者の猶予期間は2月15日で終了します。

扶養家族のH-4ビザ保持者にも、H-1Bビザ労働者と同じ猶予期間が与えられます。

解雇後の猶予期間内にできること

次に、解雇後の猶予期間内に、主に何ができるのか考えてみましょう。

1. 新しいH-1B雇用先を見つける。

猶予期間内に、新しい雇用主によるH-1B申請を行うことができれば、H-1Bビザ労働者は、アメリカ国内でステータスを維持することができる可能性が高いです。

また、ポータビリティのルールのもと、新しい雇用主による申請が移民局に受理されたら、H-1Bビザ労働者は、申請の認可を待たずに働き始めることが可能です。

2. 別の非移民ステータス変更を申請する。

解雇された配偶者は、自分の配偶者がメインのビザ保持者であれば、その扶養家族としてステータスを変更することもオプションの一つです。例えば、配偶者が同じくH-1B ビザ労働者の場合、その配偶者としてH-4にステータスに変更することができます。また、配偶者がL-1ビザ労働者であれば、その配偶者としてL-2ステータスに変更することができます。あるいは、これを機に学生に戻る場合には、F-1ステータスへの変更もオプションになるかもしれません。

なお、EやLなど、他の就労ビザのステータスへ変更する場合、前述のH-1Bポータビリティのルールは適合しません。よって、申請が認可されるまで雇用を開始することはできません。

解雇後、60日間の猶予期間を得るために特別な手続きや申請は必要ありません。猶予期間内に提出したH-1Bの転職や別のステータスへの変更申請を審査する際、移民局はH-1Bビザ労働者の状況から、猶予期間が正当かどうかを判断します。そういった意味では、猶予期間は完全に保証されているものではなく、最終的には移民局が裁量権を持ちます。

ただし、突然解雇された場合は、高い確率で猶予期間が与えられると思います。申請の際、雇用終了の理由や、その後、懸命に仕事を探した事実、可能な限り迅速に申請を提出したことなどを明確に説明し、それをサポートできる証拠書類を提出しなければなりません。

また、猶予期間内に正当な申請を提出することによって、審査期間中は不法滞在のカウントが一時的に停止します。従って、猶予期間が終了した後でも審査期間中はアメリカに合法的に滞在することができるので、最終的に申請が認可された場合、猶予期間を超えた滞在も合法的であったとみなされます。しかし、もし申請が却下された場合は、却下の翌日から不法滞在が蓄積し始めます。プレミアム・プロセスの対象となる申請の場合は、プレミアム・プロセスを利用することを勧めます。

3. アジャストメント申請をする。

H-1Bビザ労働者の経歴や実績によっては、卓越能力保持者(EB-1)や国益免除(EB-2)など、自己申請の対象となるカテゴリでのグリーンカード申請や、状況によっては、家族関係に基づくグリーンカード申請がオプションかもしれません。

4. アメリカから出国する。

一旦アメリカから出国することもオプションの一つです。解雇されたH-1Bビザ労働者がアメリカを出国する場合、雇用主には、その労働者がアメリカに入国する前の最後の外国居住地までの交通費を支給する義務があります。

出国後、改めてビザを申請することも可能です。

H-1Bビザ労働者が解雇された場合、個々の状況を検討し、ケースバイケースの分析・判断が必要です。自身で判断せず、移民法弁護士に相談することをお勧めします。

琴河・五十畑法律事務所 弁護士・琴河利恵さん
Kotokawa & Isohata, PS
6100 219th Street SW, Suite 480, Mountlake Terrace, WA 98043. USA
Phone: (206) 430-5108
www.kandilawyers.com

コラムを通して提供している情報は、一般的、および教育的情報であり、読者個人に対する解決策や法的アドバイスではありません。また、移民法は頻繁に改正があります。提供している情報は、掲載時に有効な情報です。読者個人の具体的な状況に関しては、米国移民法の弁護士にご相談ください。

モバイルバージョンを終了