アメリカ市民あるいはグリーンカード保持者との結婚を通してグリーンカードを申請する際、結婚後2年以内にグリーンカードが発行された場合には、2年間のみ有効なグリーンカードが発行されます。これを Conditional Green Card(条件付きグリーンカード)、そして条件付きグリーンカード保持者のことを Conditional Permanent Resident といいます。
条件付グリーンカードの条件を削除するには、Conditional Green Card の有効期限が切れる前90日の期間内に、Joint Petition と呼ばれる条件削除の申請を行います。この条件削除の申請は、通常、グリーンカードのスポンサーである配偶者と共同で行わなければなりません。
ただし、離婚や死別、虐待などの理由で共同で申請ができない場合には、共同申請からの免除(Waiver)を申し立てすれば、外国人配偶者が単独で申請することができます。
グリーンカード取得時に結婚後すでに2年以上経過している場合には、初めから10年間有効のグリーンカードが発行されるため、Joint Petition は必要ありません。
条件付グリーンカードの目的
条件付グリーンカードの目的は偽装結婚を防止することで、2年間の有効期限付きという以外は、通常のグリーンカード保持者と同等の権利が与えられます。従って、就労に関する制限もなく、米国と海外の間を自由に往来することも許されています。
さらに、Conditional Permanent Resident として過ごした2年間は、市民権取得条件の1つである米国内の最低居住期間にもカウントすることができます。
Joint Petitionの審査期間
Joint Petitionの審査期間は、その時々で進展したり後退したりします。また、地域によっても異なりますが、現在、審査期間は、2年前後と非常に長くなっているため、審査期間中にグリーンカードの有効期限が失効してしまいます。
しかし、移民局が申請受理後に発行する申請受理書に、グリーンカードの有効期限後も、Joint Petition申請期間中は最長24ヶ月間、グリーンカードの有効期限を延長することが記載されています。従って、有効期限が切れてしまったグリーンカードと、申請受理書を携帯することによって、引き続きグリーンカード保持者であることの証明となり、それによってアメリカでの就労、また海外への渡航も可能です。
審査期間が短い時には、申請受理書に記載される延長期間が12ヶ月だったり、18ヶ月だったりすることがありますので、申請受理書を受け取ったら、延長期間を確認しましょう。また、1年半から2年ほど前に発行された申請受理書には、18ヶ月と記載されていましたが、その後、申請期間が全体的に長くなっているため、申請提出当初、18ヶ月間延長と記載された申請受理書が発行された申請者に対し、移民局は、24ヶ月と記載した申請受理書を再発行しています。
グリーンカードの審査
グリーンカードの審査は、以前は、結婚の信用性の疑いがある場合や、無作為に抽出された稀なケースを除き、基本、書類上のみの審査が中心でした。
しかし、トランプ政権(2017-2020)で、移民局は、ほぼ全ての申請においてインタビューを行う方針に変更しました。特に、アメリカ国外の米国大使館で移民ビザのインタビューを経て2年の条件付きグリーンカードを取得ししため、移民局でインタビューを行っていない外国人の場合は、Joint Petitionでは必ずインタビューが予定されていました。
その後、2022年4月7日になって、移民局は、「全てのJoint Petition申請者に対しインタビューを義務付けることは、移民局のリソースを有効的に使えていなかった」とし、今後は、偽装申請の特定や国家安全の確保と、申請期間の改善のバランスを考えながら、より効率的に申請を進める意向であることを発表しました。
そのため、結婚が偽装でない証拠が十分にあり、申請書類に偽装や虚偽がない、インタビューで解決しなければならないような複雑な事実や問題点がない、また、永住資格に反するような犯罪歴がない場合は、審査官の裁量で、インタビューが免除されることが発表されました。この新方針は、発表があった4月7日からすでに施行されています。
コラムを通して提供している情報は、一般的、および教育的情報であり、読者個人に対する解決策や法的アドバイスではありません。また、移民法は頻繁に改正があります。提供している情報は、掲載時に有効な情報です。読者個人の具体的な状況に関しては、米国移民法の弁護士にご相談ください。