トランプ大統領の就任から1ヶ月以上が経ちました。トランプ政権では移民法政策が重要な課題となっており、トランプ大統領は就任と同時に移民法に関する数々の大統領令に署名しました。具体的には、米・メキシコ国境警備の強化、不法移民の強制送還、出生地主義制度の見直し、不法移民の人道的支援に対する連邦政府資金の打ち切り、外国人登録制度の施行など、さまざまな移民対策を挙げています。今回のコラムでは、これらの移民対策の一部をご紹介します。
出生地主義制度
出生地主義は、アメリカの憲法修正第14条で保証されています。これは、簡単に説明すると、アメリカで生まれたすべての人に、アメリカ国籍を与えるということです。そのため、両親がアメリカ市民でなくても、あるいは観光ビザや学生ビザなど非移民ビザの保持者のようにアメリカに一時的に滞在している妊婦がアメリカで出産した場合でも、その子どもにはアメリカ国籍が与えられます。トランプ大統領は就任前からこの制度の廃止を強く訴えていましたが、就任と同時に出生地主義制度に関する大統領令に署名しました。
この大統領令は、以下の2つのカテゴリに該当するアメリカで生まれた子どもたちに対して、アメリカ国籍を与えないという内容になっています。
- 出生時に、母親が不法にアメリカに滞在しており、父親がアメリカ市民またはグリーンカード保持者ではなかった場合。
- 出生時に、母親がアメリカに合法的に滞在していたものの、滞在がビザウェーバーや、観光ビザ、学生ビザなど一時的なものであり、父親がアメリカ市民またはグリーンカード保持者ではなかった場合。
現在、この大統領令は一時差し止め状態となっています。
ゴールドカード
トランプ大統領は、富裕層の外国人を対象に、500万ドルでグリーンカード保持者と同じ権利が与えられる「ゴールドカード」を販売する予定であることを発表しました。
実質上、これが現在のEB-5移民投資家ビザと入れ替わること、また、約2週間後に販売を開始する予定であることも発表されました。
外国人登録要件
移民国籍法262に基づき、外国人登録制度の施行が強化されます。
外国人登録が必要な外国人は、以下の通りです。
- 14歳以上で、ビザの申請時に指紋採取または登録がされておらず、30日以上アメリカに滞在するすべての外国人。入国後30日以内に登録が必要です。
- 14歳未満で、30日以上アメリカに滞在する外国人。この場合、入国後30日以内に親および法定後見人が登録します。
- 以前に登録されているかどうかにかかわらず、アメリカで14歳の誕生日を迎えた外国人。14歳の誕生日から30日以内に登録が必要です。
外国人は登録し、免除されない限り指紋採取がなされます。その後、国土安全保障省は登録の証拠を発行しますが、18歳以上の外国人は常にそれを携帯する必要があります。
登録をしない外国人には、禁固刑や罰金が科されます。
ただし、アメリカに滞在しているほとんどの外国人は、すでにこの要件を満たしています。以下は、その一例です。
- グリーンカード保持者
- I-94またはI-94W (紙版および電子版を含む)が発行された非移民
- アメリカ入国前に移民または非移民ビザを取得した人
- 合法的な永住権の申請者 (Form I-485、I-687、I-698、I-691、またはI-700を提出した人)
- 就労許可カード (EAD) 保有者
国土安全保障省は、外国人が登録要件を完了するための申請書と手続き方法をまもなく発表します。2025年2月25日以降、登録が必要な外国人は、登録プロセスの準備として米国移民関税局 USCIS オンラインアカウントを作成する必要があります。登録プロセスが実施されると、外国人は登録を提出し、USCISオンラインアカウントを通じて申請書を提出します。
自分の権利を理解する
在留資格に関係なく、アメリカでは憲法の下で一定の権利が保証されています。 現在、Know Your Rights という出版物が非営利団体や教会などで配られていますが、こちらはアメリカ移民法弁護士協会が出版したものです。ご参考になさってください。
琴河・五十畑法律事務所 弁護士・琴河利恵さん
Kotokawa & Isohata, PS
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Phone: (206) 430-5108
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コラムを通して提供している情報は、一般的、および教育的情報であり、読者個人に対する解決策や法的アドバイスではありません。また、移民法は頻繁に改正があります。提供している情報は、掲載時に有効な情報です。読者個人の具体的な状況に関しては、米国移民法の弁護士にご相談ください。