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2023年7月:LビザかEビザか?日本からアメリカに社員を送る企業が考えるべきポイント

アメリカに進出している企業や、これから進出を考えている企業が社員を日本からアメリカの法人に派遣する場合、一般的にはLビザまたはEビザという就労ビザの取得を検討することになります。

重役・管理職者を派遣する場合はL-1A、特殊技術・知識保持者を派遣する場合はL-1BというLビザが申請可能です。

一方、EビザはE-1(条約貿易商)ビザとE-2(条約投資家)ビザの2種類に分かれています。 E-1ビザはアメリカと申請者の国との間で交わされた通商条約、E-2ビザは投資条約が基盤となって発給されます。

今回のコラムでは、LビザとEビザのどちらが適切かを考える時の主なポイントについてお話します。

アメリカ国外の関連会社

Lビザは、国際企業内で転勤するためのビザです。従って、アメリカ国外に、アメリカの会社の支社、子会社、親会社、合併企業などの関連会社が存在しなければなりません。日本に本社がある会社が、アメリカに子会社を持っている場合などが典型的な例です。

アメリカ国外に関連会社がない場合は、Lビザのオプションはありません。
Lビザの場合は、アメリカ国外の関連会社の規模も重要なポイントです。Lビザ保持者が駐在期間中も、アメリカの会社はもちろんのこと、アメリカ国外の関連会社も運営を継続していることが条件になっています。従って、アメリカ国外の関連会社の規模が小さい場合、Lビザ保持者がアメリカ赴任後も存続できることを証明しなければなりません。

Eビザの場合は、アメリカ国外に関連会社は必要ないので、アメリカで新しいビジネスを展開することができます。

駐在員の国籍

Lビザには国籍の条件はありません。従って、日本国籍の会社が、外国籍の社員をアメリカの会社に派遣する場合、Lビザを申請することができます。例えば、日本国籍の会社が、日本の本社で働いているイギリス国籍の社員をアメリカに送る場合は、Lビザを申請します。

Eビザは、会社の過半数の所有者が米国市民権やグリーンカードを保持していない日本人もしくは日本の会社である必要があります。また、Eビザ申請者の国籍は、会社の国籍と同じでなければなりません。従って、日本国籍の会社が、日本国籍の社員を駐在員として送り出す場合は問題ありませんが、社員が日本国籍でない場合、Eビザを取得することはできません。

アメリカ国外の関連会社での雇用

Lビザの場合、申請前の3年間のうち最低1年間、アメリカ国外の関連会社で重役・管理職者、または特殊技術・知識保持者としてのフルタイムの勤務経験があることが条件となっています。

Eビザには、このような条件はありません。

投資額

Lビザには投資の条件はありません。ただし、会社がビジネスを確立する上で十分な資本があることの証明は必要となります。

E-2ビザ申請には、資金をアメリカの会社に投資していることが条件となっています。投資額に明確な規定はありませんが、会社が業務を実行し、ビジネスを確立するのに十分な投資が求められます。

駐在可能な期間

初回L-1ビザ保持者の滞在期間は3年になっています。延長は1回に2年ずつ、L-1A重役・管理職者の場合は通算7年、 L-1B特殊技術・知識保持者の場合は通算5年まで滞在可能です。

Eビザは、通常発行から5年間有効ですが、入国毎に認められるEビザ保持者の滞在期間は、2年に限られます。 しかし、延長できる期限に制限がないので、申請基準さえ満たしていれば無制限に延長が可能です。

その他

Lビザには、外国の会社が新規にアメリカに関連会社を設立する際の特別な枠があります。通常のLビザの滞在期間については上述の通りですが、例外として、アメリカに新規設立した会社の場合、事業を発展させることが目的で1年間の滞在期間が与えられます。この間に事業が成長し、実績を積むことができれば、1年後に更新することができます。

一方、E-1ビザを申請する場合、申請時にアメリカと条約国の間ですでに大量の貿易が行われていることが条件となっています。また、E-2ビザの場合、すでに多額の資金をアメリカの会社に投資していることが条件となっています。よって、申請する段階で、ある程度の実績が必要です。

琴河・五十畑法律事務所 弁護士・琴河利恵さん
Kotokawa & Isohata, PS
6100 219th Street SW, Suite 480, Mountlake Terrace, WA 98043. USA
Phone: (206) 430-5108
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コラムを通して提供している情報は、一般的、および教育的情報であり、読者個人に対する解決策や法的アドバイスではありません。また、移民法は頻繁に改正があります。提供している情報は、掲載時に有効な情報です。読者個人の具体的な状況に関しては、米国移民法の弁護士にご相談ください。

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