生まれながらの米国市民ではない人が米国市民権を取得することを、帰化(naturalization)といいます。
現在、シアトル地域では、約8割の帰化申請が申請提出から面接(インタビュー)まで約8ヶ月かかっていますが、早いと4~5ヶ月ほどでインタビューがスケジュールされるケースもあります。
インタビューは審査の最終段階でスケジュールされます。以下で説明するように、免除の対象とならない限り、そのインタビューの中で、英語と公民テスト(Civics Test)が行われます。
このテストに向けて、バイオメトリックスのアポイントメントの際に、ポケット・スタディ・ガイドという小冊子が配布されます。現在でも引き続きバイオメトリックスのアポイントメントが免除されるケースもあるので、その場合はこちらで入手可能です。このスタディ・ガイドには、100問の質問が掲載されており、実際のテストはその中から出題されます。
英語テスト
英語のテストでは、日常生活で使用する基本的な読み(Reading)、書き(Writing)、会話(Speaking)の能力がテストされます。
- Speakingの能力は、インタビューでの移民局の審査官とのやり取りで判断されます。
- Readingは、3つの文のうち1つを正しく読まなければなりません。
- Writingは、3つの文のうち1つを正しく書かなければなりません。
審査官は、申請者の多くがネイティブスピーカーでないことを理解しているので、パーフェクトな英語力は求められていません。
英語のテストが免除される申請者は以下の通りです。
- 50/20 Exception – 申請時に50歳以上で、永住者としてアメリカに20年以上住んでいる。
- 55/15 Exception – 申請時に55歳以上で、永住者としてアメリカに15年以上住んでいる。
上記の免除の対象になる場合でも、公民テストは受けなければなりません。ただし、公民テストは母国語で受けることができます。
公民テスト(Civics Test)
公民テストはアメリカの歴史や政治に関するテストで、口頭で行われます。審査官は、事前に公開されている100問の中から最大10問出題します。ただし、申請者が65歳以上で、アメリカに永住者として20年以上住んでいる場合は、100問ではなく、スタディー・ガイドに※印がある20問の中から出題されます。
出題された10問のうち、6問正解すると公民テストに合格します。5問不正解した時点で不合格となります。
年齢による免除・特別処置の他に、身体的または精神的障害などが理由で、英語や公民テストが受けられない場合、ケースバイケースで免除を得られるケースがありますが、この場合、医師からの証明書が必要になります。
なお、公民テストは2008年版と2020年版が存在しますが、2021年3月1日以降に帰化申請書を提出した場合は2008年版のテストを受けます。
スタディー・ガイドには、質問と回答のサンプルがリストされています。例1のように正解が一つしかない質問もあれば、正解が複数存在する質問もあります。
- What is the supreme law of the land?
-
The Constitution.
- What does the Constitution do?
-
A1 – sets up the government
A2 – defines the government
A3 – protects basic rights of Americans
正解が複数存在する場合、複数回答するように指示がなければ、どれか一つ回答できれば問題ありません。
なお、テストを受ける時期によっては、回答が異なる質問があります。例えば、大統領や副大統領、州知事や上院議員の名前などです。このような質問には、スタディー・ガイドに回答が変わる可能性があることの記載がありますので、テストの前に調べてください。
申請者がいずれかのテストに合格しなかった場合、審査官は、60~90日の間に再試験をスケジュールします。再試験では、最初のテストで不合格だった部分のみのテストが実施されます。例えば、最初のテストで英語のテストには合格したものの、公民テストで不合格だった場合、再試験は、公民テストのみが行われ、英語のテストはありません。再試験でも不合格だった場合、帰化申請は却下されます。
コラムを通して提供している情報は、一般的、および教育的情報であり、読者個人に対する解決策や法的アドバイスではありません。また、移民法は頻繁に改正があります。提供している情報は、掲載時に有効な情報です。読者個人の具体的な状況に関しては、米国移民法の弁護士にご相談ください。