前回のコラムでは、外国人がアメリカで STEM 関連の職業に就職する場合の非移民ビザ(一時的にアメリカに住み、働くことを可能にするビザ)のオプションについてお話ししました。
今回のコラムでは、移民ビザのオプションについてお話しします。
この場合の移民ビザとは、永住権(グリーンカード)のことです。非移民ビザとは異なり、無期限にアメリカに住み、働くことができます。
雇用ベースのグリーンカード申請
雇用ベースのグリーンカード申請は、外国人労働者の能力・学歴・経験によって、5つのカテゴリに分かれ、さらにその中でサブカテゴリに分かれます。
今回のコラムでは、STEM関連職に就職する際に適したカテゴリについて説明します。
申請基準は、カテゴリによって異なりますが、基本的には、外国人労働者が専門分野でトップレベルに達した極少数の傑出者であることを証明する実績ベース、またはオファーされている仕事がアメリカ国内で不足していて、外国人労働者を雇用することが、同様に雇用されたアメリカ人またはグリーンカード保持者の労働者の労働条件に悪影響を与えないことを証明する求人募集がベースとなります。
Extraordinary Ability:科学・芸術・教育・ビジネス・スポーツの分野で、卓越した能力を持っている外国人労働者
上記の専門分野でトップレベルに達した極少数の外国人労働者に適合します。
専門分野での学歴、経験、実績と、グリーンカード取得後も専門分野での活動を続ける意思があることを証明することによって、自己申請することができます。つまり、労働認定証(レーバー・サティフィケーション)もスポンサーも必要ありません。
Outstanding Professors and Researchers:著名な大学教授や研究者
このカテゴリは、専門分野で著名な大学教授または研究者として、国際的に認められている外国人労働者に適合します。
専門分野で少なくとも3年間、大学教授として、あるいは研究者としての経験があること、また、スポンサーが大学の場合は、オファーされたポジションが終身雇用の大学教授、あるいは研究者であることが条件となっています。スポンサーが私企業の場合は、その企業が専門分野の研究者を3人以上雇用していること、さらに専門分野に貢献していることを証明しなければなりません。労働認定証(レーバー・サティフィケーション)は必要ありませんが、スポンサーは必要で、自己申請はできません。
Multinational Managers and Executives:多国籍企業重役・管理職者
海外で過去3年のうち最低1年間、マネジャーまたはエグゼクティブでの就労経験がある多国籍企業に属する外国人労働者が、アメリカの関連会社にマネジャーやエグゼクティブとして働く場合に適合します。
学歴や過去の経験から、マネージャーやエグゼクティブ職に就く能力があることを証明しなければなりません。労働認定証(レーバー・サティフィケーション)は必要ありませんが、スポンサー企業は必要です。
Advanced Degree Professionals and Persons of Exceptional Ability:修士号またはそれ以上の学位を持つ専門職者や優れた能力の保持者
このカテゴリは、専門分野で修士号以上の学位を持っている外国人労働者(専門分野で学士号を取得し、さらに最低5年間専門分野での就労経験がある場合でも可能)、あるいは、科学・芸術・ビジネスの分野で非常に優れた能力を持っている外国人労働者に適合します。
このカテゴリの申請には、労働認定証(レーバー・サティフィケーション)とスポンサー企業が必要となります。ただし、申請者の能力や技術・技能がアメリカの国益にとって有利であると判断された場合は、 労働認定証(レーバー・サティフィケーション)とスポンサー企業は必要ありません。この申請をNational Interest Waiverと言います。
Professionals and Skilled Workers:専門職者と技能労働者
専門分野で学士号以上の学位を取得している外国人労働者、または2年以上のトレーニング、または経験を必要とする職に就く外国人労働者に該当します。このカテゴリでは、労働認定証(レーバー・サティフィケーション)とスポンサー企業が必要となります。
就労ビザで数年働いた後でグリーンカードを申請するケースが多いですが、初めからグリーンカードを申請することもできます。また、グリーンカード取得後5年で、帰化申請が可能になります。
コラムを通して提供している情報は、一般的、および教育的情報であり、読者個人に対する解決策や法的アドバイスではありません。また、移民法は頻繁に改正があります。提供している情報は、掲載時に有効な情報です。読者個人の具体的な状況に関しては、米国移民法の弁護士にご相談ください。