今回のコラムでは、米国移民法に関する最新のニュースやアップデートをお届けします。
非移民ビザ申請料金の値上げ
米国務省は、2023年5月30日より、一部の非移民ビザ申請料金を値上げすることを発表しました。
- B-1商用・B-2観光ビザや、FやM学生ビザ、J交流訪問者ビザの申請料金は、現在の160ドルから185にドルに値上がりします。
- H、L、O、P、Q、またはRといった非移民就労ビザの申請料金は、現在の190ドルから205ドルに値上がりします。
- E-1貿易駐在員ビザ・E-2投資駐在員ビザの申請料金は、現在の205ドルから315ドルに値上がりします。
在福岡米国領事館が非移民ビザサービスを終了
在福岡米国領事館では、2023年4月20日をもって非移民ビザサービスを終了しました。非移民ビザ申請は、引き続き、東京、大阪、那覇、札幌で受け付けられます。
OPT就労許可申請にプレミアム・プロセスが利用可能に
以下のカテゴリに該当するF-1学生は、プレミアム・プロセスを利用できるようになりました。
- (c)(3)(A) – Pre-Completion OPT
- (c)(3)(B) – Post-Completion OPT
- (c)(3)(C) – 24-Month Extension of OPT for STEM students
4月3日以降、上記いずれかのカテゴリで申請する場合、Form I-765(Application for Employment Authorization)とForm I-907(Request for Premium Processing Service)を同時に提出する場合にのみ、プレミアム・プロセスが適応されます。
この発表がある前にすでに上記のカテゴリでOPT就労許可を申請していて、現在も審査期間中である場合は、Form I-907を提出することによって、申請をプレミアム・プロセスにアップグレードすることができます。
なお、プレミアム・プロセス料金は、申請のカテゴリによって料金が異なりますので、注意が必要です。このカテゴリでのプレミアム・プロセス料金は$1500で、これはForm I-765の申請料金に追加されます。
2024会計年度のH-1B登録
H-1B ビザのスポンサー企業は、電子登録システムに申請を希望する外国人労働者を事前登録し、当選した場合にのみ申請できることになっています。
移民局は、2024年度のH-1B登録期間中、合計780,884件のH-1B登録があったことを発表しました。2021年度の274,237、2022年度の308,613、そして2023年度の483,927と比較して、2024年度は登録数が大幅に増加したことがわかります。
このうち、登録条件を満たしていたのが758,994件で、残りの21,890件は、重複登録など登録条件を満たすことができなかったケース、あるいは登録期間終了前にスポンサー企業が登録を削除したケースなどと考えられます。
また、登録条件を満たしている758,994件のうち、408,891件は複数のH-1B登録を持つ外国人労働者であることがわかっています。これは、2021年の28,125件、2022年の90,143件、そして2023年度の165,180件と比較して、大幅な増加になります。
現在のシステムでは、一社のスポンサー企業が一人の外国人労働者に対して複数の登録をすることはできませんが、正当なJob Offerを複数のスポンサーから受けている外国人労働者に対して、それぞれのスポンサー企業が登録を行うこと自体は違法ではありません。しかし、この抜け穴を利用し、当選確率を高めようと違法行為をする企業が存在することが判明しています。移民局は、2023年度と2024年度の証拠に基づき、すでに詐欺調査を実施し、一部の申請を却下したり取り消したりしたことを発表しています。また、犯罪の可能性があるものに関しては、連邦警察に付託したことも発表しました。
登録にあたり、スポンサー企業は、登録に含まれる情報が真実であること、実際にJob Offerが存在すること、また、当選確率を不当に高めるために、第三者や組織と協力していないことを供述しなければなりません。移民局は、引き続き、登録の不正防止に向けて取り組んで行くとコメントしています。
なお、登録条件を満たしていた758,994件の中から、すでに110,791件が当選しています。H-1Bの上限は85,000件ですが、当選者の中から実際に申請を提出しなかったり、申請を提出したものの却下されるケースがあることを考慮し、上限よりも約25,000件多く当選させています。
帰化申請時の名前変更
帰化宣誓式には行政と司法の2つのタイプがあります。名前を変更するには連邦裁判官による司法式典でなければなりませんが、シアトル地域では、移民局職員による行政式典タイプのため、帰化申請時に名前を変更することができません。
オレゴン州では司法式典が再開され、最初の開催日は6月14日と発表されました。これにより、オレゴン州在住の申請者は、帰化申請時に名前を変更することができます。
シアトル地域の申請者が名前を変更したい場合は、最寄りの裁判所で名前変更の手続きをする必要があります。
コラムを通して提供している情報は、一般的、および教育的情報であり、読者個人に対する解決策や法的アドバイスではありません。また、移民法は頻繁に改正があります。提供している情報は、掲載時に有効な情報です。読者個人の具体的な状況に関しては、米国移民法の弁護士にご相談ください。