外国人がアメリカで働くには、スポンサー企業が、外国人労働者のために就労ビザを申請することが、一般的な方法です。
アメリカでは、就労ビザを取得してから就職先を探すことはできません。
就労ビザ
それぞれの就労ビザ申請カテゴリには、個別の条件があります。外国人労働者やスポンサー企業は、申請カテゴリの条件を満たさなければなりません。
「どのビザが取得しやすいか」という質問を受けることがありますが、個々の状況を分析をせずに、どの就労ビザが取得しやすいかを判断することはできません。
申請者の学歴や実務経験、スキル、オファーされている仕事の職務内容、スポンサーとなる会社の形態や事業内容、および運営状況など、さまざまな要素を分析し、ビザ申請者に最も適したビザを選出する必要があります。
アメリカでは、就労ビザはスポンサーとなる企業に付随しています。そのため、就労ビザをスポンサーした企業で、申請した労働条件に沿ってのみ、就労が許可されます。従って、一度ビザを取得しても、雇用先が変わったり、同じ雇用先でも申請した労働条件が大幅に変わる場合には、再申請が必要となります。
フリーランスのビザは存在しない
アメリカには、フリーランス、つまり特定の会社に所属せずに、好きな時に好きな所で働くという自由契約で取得可能な就労ビザはありません。
アメリカで就労ビザを取得する場合、特定の雇用主との雇用関係が必要になります。
例えば、H-1Bビザ保持者の場合、複数の雇用主のもとで働くことは可能ですが、それぞれの雇用主が請願書を個別に提出し、それぞれ移民局の認可を得る必要があります。
ビザ保持者の副業やパートタイムジョブ(アルバイト)
ビザ保持者の副業やアルバイトはどうでしょうか。
上述の通り、アメリカにはフリーランスのビザはないので、ビザ保持者による副業やアルバイトはできません。
例えば、会計士事務所が就労ビザをスポンサーし、会計士としてH-1Bを取得し、就労ビザをスポンサーしてくれた会計事務所で勤務している外国人労働者が、週末にサーバーや家庭教師として働くというような副業、アルバイト的なことは法律上、許可されていません。
就労ビザの申請ステップ
通常、就労ビザの申請は、2ステップで行われます。
H-1Bや、E-3、H-2Bのように、移民局に請願書を提出する前に、労働局から認定が必要なケースもあります。
配偶者や21歳未満の未婚の子どもは、ビザ申請者の扶養家族として、ビザ申請者と一緒にあるいは後から米国大使館・領事館にてビザ・査証を申請することができるので、ステップ1は必要ありません。
すでに他のステータスでアメリカに滞在している人は、アメリカ国内でステータス変更という方法で申請が可能です。その場合、アメリカに滞在している限り、ステップ2は必要ありません。
EビザやTNビザのように、ビザの種類によっては米国移民局での請願が必要なく、米国大使館・領事館にて(カナダ国籍のTN申請者は、特定のCBPオフィスにて)、申請を行うことができるケースもあります。
学生(F-1ビザ)保持者のプラクティカル・トレーニング
就労・研修がF-1ビザ保持者の専攻分野でなければならいという規定や、大学の Designated School Official(DSO)の許可が必要という要件はありますが、スポンサーによる就労ビザの請願は必要ありません。
また、F-1ビザ保持者がプラクティカル・トレーニングを行う場合は、移民局にてEmployment Authorization Document(就労許可証)を申請しなければなりませんが、スポンサーによる請願は必要ありません。
E ビザと L ビザ保持者の配偶者の就労・起業
E ビザと L ビザ保持者の配偶者も、スポンサーによる請願は必要なく、アメリカでの就労が認められています。会社に所属することも可能ですし、契約社員として働くことも、自身でビジネスを起業することも可能です。
ただし、就労はビザのステータスに付随しているため、Eビザのステータスが合法的であることが条件の一つです。
上述の通り、外国人がアメリカで働くには就労ビザや就労許可証が必要ですが、実際に働くとなると、ソーシャル・セキュリティ番号を取得したり、確定申告の義務が発生するケースもあるので、注意しましょう。
コラムを通して提供している情報は、一般的、および教育的情報であり、読者個人に対する解決策や法的アドバイスではありません。また、移民法は頻繁に改正があります。提供している情報は、掲載時に有効な情報です。読者個人の具体的な状況に関しては、米国移民法の弁護士にご相談ください。