「パートナーが変わってしまった・・・」
「前はこんな人ではなかったのに・・・」
「こんな人だとは思わなかった・・・」
外国人のパートナーをお持ちの日本人の方々から、このようなお話を伺うことがよくあります。
原因はさまざまですが、変わられたのは、本当にパートナーご本人でしょうか。
日常生活の中で、私たちは先入観や社会的に形成された固定概念（ステレオタイプ）をもとにさまざまな判断をすることがあります。このような判断は無意識のうちに行われ、さらにストーリー化されていきます。自分で造り上げたストーリーとそれに伴う考えや感情は、他人から言われたことよりも心と記憶に残りやすいようです。
恋愛においては、「あばたもえくぼ」と言われるように、ステレオタイプの焦点が「良い部分」に集中しがちです。例えば、外国人のパートナーに対して、「会話やリードが上手で楽しい」「男女平等主義で女性を尊重する」「子供とよく遊ぶ、子供好き」などの「良い部分」を中心にストーリーが形成されていきます。
ですが、実はこれらの「良い部分」は、世間一般で良いとされていることと、自分自身が本当に重要視していることとが混乱しやすく、交際が長くなる中で、自分の「本来の価値観」や相手の「新しい面や本来の部分」などが見え始めた時に、大きなギャップに気づくことがあります。
また、私たちの年齢や生活環境が変化するにつれ、視点や価値観が変化していき、現在の相手のあり方が、以前に脳や心に記憶されたステレオタイプやストーリーとつじつまが合わなくなり、「こんなはずじゃなかったのに・・・」と、強い期待外れの感情が生まれます。
例：
「会話やリードが上手で楽しい」→「自分のことばかりで私の話は聞いてくれない」
「男女平等主義で女性を尊重する」→「仕事をしていない私を馬鹿にする」
「子供とよく遊ぶ、子供好き」→「子供みたいで手がかかる。しつけに無頓着」
もちろん、長く一緒に過ごすことによって、お互いの愛情や態度が変化することもありますが、「期待外れ」な感情にとらわれすぎる前に、現在の状況から少し距離を置いて、客観的にご自身に質問してみてください。
今のパートナーと出会う前、彼（彼女）のような人に対し、どのようなステレオタイプをお持ちでしたか？
（文化、職業や収入、生活環境、家族関係、その人の価値観や日本人に対する考えなど）
今のパートナと出会った当初、どのような印象をお持ちになりましたか？
それらの印象は、世間一般のステレオタイプとどこが似ていますか？
また、異なりますか？
パートナーのような人に対するステレオタイプやご自身の価値観は、現在どう変化していますか？
さらに、あなたのパートナーにも同じ質問をしてみてください。同じように、先入観やステレオタイプなどのレンズ越しにあなたのことをご覧になっているかもしれません。
佐野圭子 Ph.D, LMHC, NCC, SAS
メンタルヘルス＆キャリアカウンセリング
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