これまで5回にわたり、ワシントン州日米協会 スモールビジネス部SBRP(Small Business Resiliency Program)が日本人の方々のビジネスを支え、元気にし、発展のお手伝いするために取り組んでいるプロジェクトをご紹介し、どなたでも気軽に相談できるとお伝えしてきました。
最終回となる今回のコラムでは、SBRPが築いたネットワークとSBRPのこれからについてお話ししたいと思います。
アメリカ政府とのネットワーク
ワシントン州日米協会 スモールビジネス部SBRPは、州商務省の中に属しているSBRN(Small Business Resiliency Network)のメンバーとして、少なくとも週1回、州政府とのミーティングに出席しており、さまざまな方や団体とお会いする機会があります。
私たちにご相談いただく内容によっては、そのSBRNのネットワーク内でお互いに相談に乗ったり、州商務省(Washington State Commerce)の職員はもとより、WSMA(ウィスマ:Washington State Microenterprise Association)や、SBA(Small Business Administration)に相談したり、知事直下の機関にも問い合わせたりできます。
つまり、日系企業の方が州政府機関などに直接問い合わせることはハードルが高くても、私たちが代わりに州政府に問い合わせたり、ご意見をいただいたりできるのです。
実際、「日本から輸入するビジネスをしたいが、どこから取り掛かったらよいかわからない」というご質問を受けた時は、政府機関に直接問い合わせ、回答していただきましたし、助成金に関係したご質問では、SBRNからご意見をいただきました。
日本とのネットワーク
ワシントン州のさまざまな中小企業・個人事業主の方で日本と連携して事業をしたい、または日本のベンダーを使って素材などの輸入をしたいとお考えの方は少なくないと思います。日本政府は、ポストコロナの今、輸出に力を入れようとしていますし、日本企業もどんどん企業活動を拡大し、輸出などにとても積極的です。
ワシントン州日米協会 スモールビジネス部SBRPは、案件によっては在シアトル日本国総領事館とも情報を共有し、国内外からサポートできる体制を構築しております。日本の農林水産省や経済産業省、JETROなどによるプログラムや勉強会の情報も入手しています。日本の方々との勉強会に参加したり、ネットワーク作りができることは、事業の可能性を広げます。
これからの日米協会SBRPの取り組み
ここまでSBRPはコロナ禍の州内中小企業・個人事業主の方をお手伝いすることを目的に日々活動してまいりました。
COVIDによって、「リモートワーク」「ズームミーティング」という言葉が日常的に使われるようになり、コロナの前と後では人々の考え方や価値観などが変わりました。その結果、今までの生活から、キャリアチェンジをして新たな事業を立ち上げようとする方たちが増えています。
日米協会SBRPは、そういった新規参入日系企業の方々のお手伝いも含め、広く新旧ビジネスの方々をお手伝いし、日系企業のより強い絆づくりのお手伝いができればと思っています。その一つのプロジェクトとして、飲食関係のお仕事を始めたい方々のために、他の日系NPOと連携し、幣協会を通じて商用キッチンを使用できるようにする計画も少しずつ進めております。具体的な詳細は今後のSNSやニュースレターでお知らせする予定ですので、ご興味のある方はお見逃しなく!
「サイレント・ジャパニーズ」
現在のワシントン州では、「日系企業は手伝いを必要としていない」と思われる傾向にあります。その状態は、日系以外のコミュニティの一部で「サイレント・ジャパニーズ」と言われているほどです。
その背景には、日本人のとても我慢強い性格や、ひと様に迷惑をかけてはいけないという精神から、周囲に助けを求めることをしないことがあると思います。政府会議に出ていると、この精神を持っているのは日本人だけではなく、インド人社会などの中にもあると聞くこともあります。
こうした考え方を持つことは大切ですが、一般のアメリカ社会では理解されません。なので、政府側は「補助を必要とする声がないなら、補助金やサポートも必要でないですね?」と、極端な結論を出してしまう傾向もあります。
こういったことを日本人である私たちがよく理解し、声を上げる努力をしていくことが必要だと感じています。私たちSBRPは、政府にみなさんの声を届けられる団体です。だからこそ、ともにワシントン州の中の日系社会をより強固なものにしていく ― それが私たちのミッションなのです。
ワシントン州日米協会
SBRP(Small Business Resiliency Program)
ワシントン州日米協会 SBRP(Small Business Resiliency Program)は、アメリカで事業を運営されている小規模事業・個人事業主の方にお気軽にご活用いただき、COVID-19の影響を最小限に抑え、事業のさらなる発展と地域の企業ネットワーク構築の一助となるために運営されています。今後 SBRN で取り上げるべきテーマや事業運営におけるご質問などがございましたら、お気軽にご連絡ください。
ワシントン州日米協会 SBRP(Small Business Resiliency Program)
【電話】 (206) 374-0180
【公式サイト】 jassw.org/small-business
【問い合わせフォーム】jassw.org/small-business/small-business-contact/