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ベルビュー・チルドレンズ・アカデミー
清水 楡華(しみず ゆか)さん
14640 NE 24th Street
Bellevue, WA 98007
【電話】 (425) 785-8032
【公式サイト】 ベルビュー・チルドレンズ・アカデミー土曜学校
バイリンガル幼稚園、BCA 現地校(英語サイト)
Willows Preparatory School ミドルスクール現地校(英語サイト)
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2011年3月、 国際教育到達度評価学会によって、児童生徒の算数・数学の学習到達度を国際的な尺度で測定する試験が実施されました。国際間の比較ができ、バイリンガルの子供たちの学力と各国の成績を見られる面白い資料になっています。調査の対象となったのは小学4年生と中学2年生。日本はどちらの学年も世界50カ国中、5位という高い点をとっています。上位はシンガポール、韓国、香港、台湾の順で、アメリカはどちらの学年も10位内に入っていません。
試験とともに実施されたアンケートによると「算数・数学の勉強は楽しい」と答えた日本の小学生は73%、中学生は48%。国際平均84%より低い数字になっています。「将来の自分の仕事につくために算数数学で良い成績をとる必要がある」と答えた日本の小学生は、国際平均83%に対し、62%。中学生は47%です。また「親が学校で習っていることについて私に尋ねる」と答えた日本の小学生は21%で、中学生は12%。国際平均の65%を大きく下回っています。面白いのは、どの質問に対しても日本では小学生が高く中学生が低いのに対し、アメリカはその逆。中学生の方が小学生よりも高くなっています。
統計がすべて当てはまるというわけではありませんが、なんとなく耳が痛い気がします。子どもが小学生の頃は、いつも横にいて算数の勉強を見ていたけれど、「中学生になったらほったらかし」という声をよく聞きます。またいくつかの現地校においても、子供が上の学年にあがるほど、父兄は算数・数学に対する関心が高くなります。「算数・数学の知識がどのように日常生活と結びついているのか」ということも、日本よりも授業でよく習い、子供たちの算数・数学に対する意識が広く深くなるように指導しています。日本の算数・数学学習は、計算能力の分野での到達度は世界において高く評価されていますが、子供たちの意識とそれを生活に結びつける部分は、残念ながら低いレベルにとどまっているようです。日本の親の意識が低いのは「学校指導に任せられる」と満足、安心しているせいかもしれません。
また、アメリカの学校では日本のように指定された教科書がないため、いろいろな教え方があります。担任の先生によって教え方が違ったり、計算の仕方が違うということも出てきます。このことから、アメリカ現地校で算数・数学を勉強していく中で、少なくとも日本の平均レベルの学力を保つために、ご家庭で日米の違いを意識して学習されることをお勧めします。(スペースの都合で、すべての学年における留意事項を書くことができないので)ここでは4歳ぐらいから始められる事を紹介します。
数の認識
物体を見て、ひとつずつ数えるのではなく、デコード(シンボルとしての数と実際の数量を瞬間的に変換する)能力をつける。さいころを振って、点を数えるのではなく、見たらすぐ数を言えるようにする練習がお勧めです。自分ですごろくを作って、家族みんなでさいころを振って遊ぶのも楽しいでしょう。
数の分解
数の大きさを概念で理解します。10までの数を分解したものを直線で表します。これをナンバーボードといい、足し算と引き算の裏表の関係もわかります。
算数のお話作り
足し算、引き算、掛け算、割り算の四則の概念を紹介します。8個のたこ焼きを家族3人で分けるのは立派な割り算のお話です。教科書やプリントに頼らないで、自然な生活環境の中で算数・数学を見つけ、子供たちに慣れ親しませるようにします。
形・図形
平面図形から立体図形まで何でもできます。ティッシュペーパーの箱が空になったら、展開させてあげてください。隅の点から違う隅の点まで線を引かせて、組み立てた時にどう見えるのかなども楽しめるでしょう。クリスマスには、自分でギフトボックスを作らせデコレーションさせると対面の関係も理解できます。短くなった鉛筆やクレヨンを直径にし、毛糸で円を作らせ、直径と円周との関係の大発見もできます。
推論・認識能力
計算能力を伸ばすための練習に比べると、なおざりにされている部分ですが、数学的な思考力を早い時期に身に付けるために大切です。パターンを考えたり、同じものを書いたり作ったり、仲間分けもこの仲間に入ります。ロジックな思考力のことを言います。
ほとんどの幼稚園と小学校1年生で、足し算と引き算に集中した授業が行われているようですが、無限の学習能力と好奇心を持っているこの年齢の子供たちに、たくさんのバラエティに富んだ方法で、算数の面白さをガイドしていきます。楽しい体験が一番です。でも、ただ楽しいだけではなく、そこにしっかりとした学習計画と目標が必要です。それがあると、ご家庭のキッチンやリビングルームが素晴らしい教室になります。そして、常に意識を持ってお子さまと、または先生とコミュニケーションをとってください。
バイリンガルとして世界を舞台にたくましく生きていく子供たち。最近のテクノロジーの進歩で、これからはどのような職業に就いても数学の知識と思考は必須です。アメリカの基準の中で安心して満足するのではなく、日本の数学の代表に挙げられる九九、数の分解、分数と少数の応用概念、割合の考え方、体積面積、”グラフ電卓を使わない” 関数、二次方程式、因数分解、このあたりまで徹底しておくと、SAT の数学は90%以上を取ることができます。
バイリンガルとして英語と日本語を学習している子供たち。日本語は語学学習だけにとどめておくのでなく、日本語を使ってアメリカにないものを学習する道具に使って欲しく思うのです。算数・数学はそのひとつの利です。バイリンガルの子供たちの教育目標として、英語と日本語は当たり前ですがもうひとつ ”バイリンガル算数・数学” を付け足すことをここに提案します。
掲載:2013年5月