ベルビュー・チルドレンズ・アカデミー
清水 楡華(しみず ゆか)さん
14640 NE 24th Street
Bellevue, WA 98007
【電話】 (425) 785-8032
【公式サイト】 ベルビュー・チルドレンズ・アカデミー土曜学校
バイリンガル幼稚園、BCA 現地校(英語サイト)
Willows Preparatory School ミドルスクール現地校(英語サイト)
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アメリカには30年以上にわたりデザインの変わらないものがたくさんあります。新学年を迎え、今あちらこちらの店頭で売られている黄色の鉛筆とスパイラルノートもそうです。ノートはかわいいデザインのものもありますが、学校や先生方から指定されるものは 広い罫線の赤、青、緑、黄色の表紙のシンプルなものです。 ノートは紙自体が上質とは言えず、下敷きもありません。ノートを取るということをあまり重要視していないような気がします。個人主義において、クラス全体の一斉授業があまり行われないためか、クラスでの板書指導をみかけません。うちの子供たち3人の学生時代をふりかえってみても、アメリカの学校でノートを取る指導はなかったように思います。「計算を残しなさい」「ノートを取りなさい」と、何度わが子たちに伝えたことでしょう。でもそのたびに「だって先生が答えだけ書くように言ったもの」とか、「ノートに書いてたら注意された」と、悲しい反論が返ってきました。
バイリンガルの子供たちには、アメリカの学校でされていない指導をご家庭で紹介してあげてください。ノートを取るということは、単純なようですが実は奥が深く、学力向上を担う大きな要因のひとつです。自分の頭にひらめいたものをノートに書き出して整理していく能力はすべての教科で必要とされ、ロジカルな思考を生み出します。頭で考えるだけでなく、手でも考えます。手でノートを取りながら頭を働かせるという感覚は、優しいようですが、子供たちにとってはなかなか難しいものです。だからこそ幼いころから手を動かす習慣を身に付け、慣れさせておくことが望まれます。ノートは授業を理解し実力をつけていくのになくてはならない道具のひとつです。日本の教育のいい部分をアメリカの教育に伝えようと取り組んでいますが、私が経営している現地の小学校で先生方に「子供たちにどのようにノートの取り方を指導するか」を伝授するのは容易なことではありません。バイリンガルの子供のご家庭においては、親御さんがそれを直接紹介してあげてください。新年度のはじめに、ノートの取り方、使い方を身に付けておけば、今後の学力の向上に大きく役立ちます。
幼児・低学年においてのノート取りへの導入
- まず何でも「手を動かすこと」を奨励してください。りんごを使った「1たす2」の足し算の問題では、りんごを描きましょう。もうすでに答えがわかっていても、面倒がらずに絵にしたり図を描いたり、線を引いたり、「書くこと」に慣れるようにしてあげてください。
- 次は、記録としてのノートを指導します。アメリカのスパイラルノートには縦に赤い線が入っています。この赤い罫線の左側に、日付け、ページ数、問題番号などときちんと書けるようにし、右側には図、算数であれは計算式のすべてを残します。消しゴムはなるべく使いません。教科のノートでなくてもよく、自分の読んだ本の筋を4こまの絵に描いたり、一番感動した部分を描かせて簡単な感想を文にして書き込んでもいいと思います。読んだ本、読んだ日をきちんと記録に残します。
- 最後に、ノートを取ることが楽しくなくてはいけません。ノートの中にシールを貼っていくのもいいでしょう。「かんたん!」「??」など、自分の言葉でコメントを入れていくのも楽しいでしょう。さらに、親御さんが子供のノートを見て、たくさんの言葉掛けをしてください。褒めてもらうとますますうれしく楽しくなるのもこの時期です。
高学年からのノート取り
ノートを目的に応じて使えるようにしていきます。授業ノート、復習練習ノート、知識ノートが挙げられます。
- 大きな比重を占めているのが授業ノートです。赤線の左側に、キーワードとなる言葉を書き入れ、右側にノートやメモを取ります。各ページ下から4分の1ぐらいのところは余白で残しておいて、あとから自分でまとめたことや付けたしていくものを書き入れます。先生の書いたもの・パワーポイントの書き写しだけにならないように気をつけます。なるべく2色から3色を使い、図を描き入れたりアンダーラインを引いたりしてグラフィック化していきます。ノートを取るという作業は授業を後で再現・見直しできるようにすることです。
- テストの前などには、復習練習ノートがあります。自分なりに工夫を加えてポイントを明確にして書き残します。計算式・図表等はすべて残します。
- 最後に知識ノートです。アメリカの先生方はよくインデックスカードを利用します。3インチx5インチのものですが、重要な知識を自分用にまとめていくので、自分だけのオリジナル参考書にもなりえます。歴史の年代、数学の公式学習などにいいでしょう。バイリンガルの子供たちにお勧めするのは、このカードを使っての単語カード作りです。ひとつの単語からその派生語、意味、語源、例文などを書き入れていきます。自分独自の単語カード集ができます。
ノートを取るという作業には、書きながら考える、手を動かし五感で考える、図や表で問題をイメージ化して考える、というような、学習活動で大切な部分が詰まっています。新学年を迎えてお子様とノートを取る計画を一緒にたてられてはいかがでしょう。
今、子供たちが新しく手にしているノートが、学年末にはずっしり重たく感じられるノートになりますように。
掲載:2013年9月