ベルビュー・チルドレンズ・アカデミー
清水 楡華(しみず ゆか)さん
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Bellevue, WA 98007
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バイリンガル幼稚園、BCA 現地校(英語サイト)
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立教大学の鳥飼玖美子先生の著書 『TOEFL・TOEICと日本人の英語力―資格主義から実力主義へ』 を拝読しました。その中で、日本人の資格に対する固執について書いておられるところがあります。
私自身も、資格大好きな母親に連れられたくさんの資格を取りました。英検1級を高校で取った時、誇らしげな母親の笑顔を前に、これが一体何になるのかと疑問に思いました。合格しても、少しも使えなかったからです。
まず、言語能力を試験で級に分けることなど、おかしいことです。日本にいる子供たちにとっては 英語の生活環境がないため、仕方のないことかもしれませんが、英語はさておき、数学や算数の検定といった資格と級はいったい何を意味するのでしょうか?その級に合格するための勉強では 題解決能力やプレゼンテーション能力などは身につきません。試験の答えを出すことよりも そのプロセスと考え方が大切です。このようなことでは、日本は私たちの世代へ後戻りするのではないかと心配になります。
不透明な時代には誰もが確かさを求めます。資格や級は手に取れる確かなものです。しかし、不透明な時代こそ、勇気を持って一歩踏み出し、問題を見つけ、考え解決していく力が要求されます。親として指導者として 不透明な時代に生きていく子供たちを励まし応援していかなければなりません。幸いにもここはアメリカで、日本の影響を受けることはそうありません。人と同じことをしなくても、世間のブームにあわせなくても、大丈夫です。個人個人で、しっかりした知識と認識を持ってバイリンガルの子供たちに必要な教育をしていきましょう。
長年親しくしていただいている桐島洋子さんが 私が3人の子供たちを連れてアメリカに行くことになった時、「アメリカでは自分が好きな、思い通りの子育てができるわよ」とはっぱをかけてくれました。確かに、車社会のため、こちらからアピールしない限り交流は閉じられ、自由です。でも、それは賢い正しい選択を常に迫られるので、とても勇気の要ることでもあります。おかげで、男の子のいる家なのにゲームがひとつもないという環境を作ることも容易にできました。買ってもらえないため、自分でゲームを作り始め、自分から2進法を学習しプログラムを作り始めたのは、長男が小学3年の時でした。今の彼の成功はここから始まりました。
鳥飼玖美子先生はまた、「英語について、自分は何のために英語を学ぶのか、を考えることが第一歩であり、その上で、資格に踊らされることなく、本当の意味での実力をつけることが、地球語としての英語をコミュニケーションのために駆使することを可能にするのである」と言われています。
前述の「日本人の資格好き」のエピソードは、うなずきながら読み進めました。
日本人の留学希望者が、「貴校を卒業すると、何か資格を得ることができるのでしょうか?」という質問をしました。本来は大学で何をどのように学ぶのかであり、資格は自分が学んだことをテストで見せる証明にしか過ぎません。アメリカの進学カウンセラーには資格のための大学というコンセプトは到底理解してもらえないことでしょう。
日本ではまず「資格」「学歴」の存在にこだわるという姿勢が当たり前です。でも、本当はそれよりも何をするか、成し遂げるかが大切です。最近、世界中でインド人の活躍が多く目につきます。会社の重要なポジションでもそうです。彼らは幼い時から英語を学び、英語で考え、討論することができます。英語を知識のための資格や目的ではなくコミュニケーションの道具として使いこなしているからです。それには、受動型でなく、発動型で表現できる英語でなくてはいけません。つまり、英語で自分を表現することがとても大切です。知識ではなく 英語を使って書く力を練習する必要があります。日本の英語教育に携わる人たちには、資格制度に頼るだけでなく、使える英語教育を推進していってほしいものです。そして、保護者をはじめ、日本の企業や社会が、それをしっかり認識して舵取りをしていかなければなりません。英語を自由に使いこなす日本の子供たちが世界中で活躍する日のために。資源のない日本だからこそ、いろいろな方面で優れた知識を日本独自のサービス文化をもって世界に進出させ、世界中に日本人の活躍する舞台を作るために。バイリンガル教育、英語教育をしながら、そんな未来が早く来ることを期待しています。
掲載:2015年3月