ベルビュー・チルドレンズ・アカデミー
清水 楡華(しみず ゆか)さん
14640 NE 24th Street
Bellevue, WA 98007
【電話】 (425) 785-8032
【公式サイト】 ベルビュー・チルドレンズ・アカデミー土曜学校
バイリンガル幼稚園、BCA 現地校(英語サイト)
Willows Preparatory School ミドルスクール現地校(英語サイト)
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12月、街がクリスマスのライトで飾られる頃、アメリカの学校では来年度の生徒の入学選考の季節に入ります。父兄はクリスマスの買い物どころではなく、子供の入学願書を取り寄せ、親にも課せられるエッセイを準備します。英語が母国語でない親にとっては地獄の苦しみで、近年ではその代行をする業者も出てきています。日本の入試制度にはまだ程遠いものの、子供たちは ISEE や SSAT とよばれる私立校の入学試験のための受験勉強をしたり、学校を訪問したり面接を受けたりで大変です。
驚くことに小学校の入学もこれ然りで、4歳児のためのグループ試験や面接試験などがあります。シアトル日本語補習学校の春からの面接試験も時を同じくして行われます。2013年度は願書の受付け締め切りが 1 月12日となり、面接試験が17日から始まります。 子供の試験においては、親は自分の試験以上にはらはらどきどきしますが、合否の鍵は子供がその試験の時に、自分が持っているものを試験官に見せられるかどうかということです。付け焼刃で練習してもなかなかできませんし、難しいことです。
- 人の目を見て話ができる。
- 朗らかに挨拶ができる。
- 集団で学習できる基礎学習能力と知識がある。
試験官はだいたいこのあたりから、子供の持つ社交性と感受性を推し量ることができます。私自身は今、試験官の立場にいますが 教育に携わるものは誰もが「どの子も伸びる、伸ばしてみせる」とがんばっているので、これに反し、できる子だけを選抜していくのは非常に理に合わない拷問のような思いをします。また逆に、自分が受験生の母親であった頃、私がイライラしながら恥ずかしがり屋の娘にお辞儀の仕方を教えている時に、主人が「最後の武器は、”にっこりスマイル”」などと横槍を入れていたのを思い出します。そのにっこりスマイルを校長先生に高く買っていただいたようで、しばらくして届いた合格通知は家族を驚かせました。
その娘は公立の英才教育(Gifted)プログラムのテストでは学力試験で満点を取り、高い知能指数があるという結果も出て、Bellevue Public School Gifted Program に入学した最初の日本人バイリンガルとなりました。あの頃、このプログラムに入るには英語算数ともに98%以上、知能指数148以上が条件でした。一生懸命に物事に取り組み、主体性を持つ子で、兄弟の真ん中に生まれたことから、毎日の生活の中で必然的に生きていくためのいろいろな能力を生きる知恵として身につけました。それが知能を刺激し、知能指数とやらを高めたのではないかと思います。この時も “にっこりスマイル” で、アニメのトトロに出てくる憧れの黄色のスクールバスに乗って、その学校へ通えるようになったのです。
アメリカ人の考える “fairness”(公平さ)は、一人ひとりの子供のレベルにあったものを与えることです。一方、日本人は、「全員に同じものを与えるのがフェア」と考えます。ESL プログラムは英語を母国語としない子供たちのために、Gifted プログラムは高い学力・知力を持つ子供たちのために、特別なカリキュラムで教えるものです。最近の選挙で認可されたチャーター・スクールは公立校ではありますが、各学校独自のプログラムで運営される私立校寄りの学校のことを言います。しかし、福祉的な色合いが強いので、低所得者地域から先に実現されそうです。
試験合格を目指していらっしゃる保護者の方、先生方に提案があります。最後の武器は “にっこりスマイル” です。子供が心からにっこりできるほど、落ち着き、楽しみ、自信を持てるように温かく励ましてあげてください。子供のにっこりは、ご両親から始まらなければなりません。特にお母さんのにっこりは効果抜群です。お子様だけでなく、ご主人様にもにっこりで、どんな試験にも強い家庭を築き、最終武器であるにっこりをみんなで実行しましょう。
もうすぐ始まる入試の季節、面接試験官の一人として、きらきらした “にっこりスマイル” を見せてくれる子供たちにたくさん出会えることを楽しみにしています。
掲載:2013年1月