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妊娠が難しい時 第3回 「クロミド・チャレンジ検査」

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ナースプラクティショナー・助産師・看護学博士
押尾 祥子さん

Sachiko Oshio, CNM, PhD, ARNP

Nadeshiko Women’s Clinic

【メール】 info@nadeshikoclinic.com
【公式サイト】 www.nadeshikoclinic.com
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なかなか妊娠できない場合、女性側の原因を調べるクロミド・チャレンジ検査(Clomid Challenge Test)という方法があります。これは、クロミドという排卵促進剤を5日間飲んで、その前後のホルモン検査をするものです。この検査をすれば、卵巣予備能力(刺激を受けたときに卵巣が排卵する能力)が低下しているかどうかがわかります。

排卵とは、いろいろなホルモンがお互いにフィードバックをしながら共同して起こすものです。その中のどの部分に問題があっても排卵は起こりません。クロミドという薬はエストロジェンに似ているため、脳のエストロジェン受容体を利かなくします。すると、脳はエストロジェンが低いと判断し、これを高くするホルモンを出します。卵巣機能が正常なら、クロミドを飲み終わるとエストロジェンが出ていることがわかり、エストロジェンを高くするためのホルモンは低くなります。しかし、卵巣機能に異常があり、エストロジェンが出ていなければ、これを高くするためのホルモンが出続けるため、クロミド・チャレンジ検査の結果で異常値が出ます。

クロミドは50mg の錠剤で、この検査では1日1回2錠ずつ飲みます。食前食後は関係なく、朝に1回飲みます。クロミドは不妊治療の薬の中では最も安価で、5日分で20ドル前後です。特に大きな副作用はありませんが、ホルモン剤なので、気分のむらや、イライラ感が強く出る人もいます。また、エストロジェンの受容体をブロックしてしまうので、更年期と同じような症状が出て、のぼせや膣の乾燥感などが起こる人もいます。軽い頭痛はよくありますが、もし、目の前に星が飛んだり、ひどい頭痛がある人は、処方してくれた医師に連絡し、服用をやめた方が良いでしょう。

クロミド・チャレンジ検査では、2回の血液検査を行います。生理開始後3日目ぐらいに、1回目の血液検査(FSH と Estradiol)をします。その後、生理開始後5日目から9日目までの5日間にわたりクロミドを服用し、飲み終わった次の日、つまり生理開始後10日目に、もう一度血液検査(FSH)をします。さらに、卵巣の機能の様子を見るために、最初の血液検査の時に、超音波検査で卵巣の中の前胞状卵胞の数を数える場合もあります。

FSH の正常値は10mIU/ml 以下です。FSH の値は毎月変わりますが、一番高かった時(すなわち、悪かった時)の値で妊娠の成功率を予測することができます。年齢にもよりますが、FSH の値が15mlIU/ml を超えてしまうと、不妊治療の成功率はかなり低くなります。

エストロジェンの分泌には卵胞が関わっているので、この検査の結果で異常値が出れば、卵子の質が低下していることもわかります。なお、女性の年齢によって、異常値の意味が少し異なります。

35歳から38歳ぐらいまでの場合:クロミドに対する卵巣の反応が悪い。従って、刺激の種類を変えたり、クロミドの量を増やしたりして排卵を促します。

38歳以上の場合:クロミドに対する反応が悪いだけでなく、卵子の質が低下している場合が多い。また、体外受精をしても成功の確率は低くなります。

(2007年7月)

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