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Boehm’s Candies 中川風輝さん

中川風輝さん

インターンシップ先の Boehm’s Candies の社長やスタッフの皆さんと。

中川風輝(なかがわ・ふうき)さん
【学校】 Bellevue College
【留学開始】 2017年3月
【インターンシップの内容】 Boehm’s Candies にて社長業務体験+職場体験

留学しようと思ったきっかけは?

「英語ができないことが理由で行動を制限されたくない」「勉強しても理解できない他国の人々の考え方を知りたい」 そんな思いが募って大学4年次を休学して留学することを決意しました。きっかけとなった大きな出来事が一つあるわけではなく、自分の性格が小さなきっかけ一つ一つに関係していると思います。

私の性格を一言で表すと「やってみたがり」。「やりたい!」と思ったことを自分で経験したり、理解したりしないと、どうしても気が済まない性格です。

そのため、英語を話す場面で「英語がわからない(聞き取れない)ならいいよ」と最後まできちんと説明してもらえず適当にごまかされたり、旅先で現地のツアーに申し込めなかったり、バイト先で外国人のお客様にうまく説明することができなかったり、英語ができないという理由でやりたいことが制限されるたびにものすごい悔しさを感じ、「英語だけは絶対にできるようになりたい」「もっと選択肢を広げたい」と感じるようになりました。

また、3年次からのゼミでは、日米企業の違いについて調べて何度か発表しましたが、なぜその違いが生まれるのかよくわかりませんでした。もちろん「文化の違い」が原因で、それによってさまざまな場面で違いが生まれるといえばそれまでですが、経験したことがなくてわからないことがすごく嫌だったのです。そして日に日に、海外に長期滞在して、文化の違いとは何か、もっと深く自分で理解したいと思うようになりました。

そんな思いが大学生活のさまざまな場面を通して強くなり、留学することを決心しました。英語ができないことへの劣等感、英語への憧れが、人一倍強かったのだと思います。

自分からシアトルという地を選んだというよりは、参加したいプログラムで、世界の中心であるアメリカで、少人数制の学部授業が受けられるところを選択したら、シアトルの東にあるベルビュー市のベルビュー・カレッジにたどり着きました。

1年後の目標は、世の中の幸せの連鎖を作り出す人に一歩でも近づくこと。一生をかけて実現したい人生の目標をインターンシップ先の社長さんとの出会いから見つけることができました。

普段はどんな生活?シアトルで体験したカルチャーショックは?

現在はシアトルの東、イサクア市にある Boehm’s Candies という会社で3ヶ月間のインターンシップをしています。

週4日、1日6時間です。インターンシップ後は、Meet Up で見つけたソーシャルネットワークイベントに出かけたり、友人と現在企画中のギネス記録にチャレンジするイベントについて話し合ったり、ジムに行ってズンバを踊ったりしています。

一番のカルチャーショックは、さまざまな国籍、人種の人がいるシアトル地域では、「ひとりひとり違うのは当たり前で、個性を受け入れよう」という文化があることです。日本の常識では考えられないことでも、面白いことに対しては「面白い」と受け入れ、応援する文化があるように思います。

また、ベルビュー・カレッジには「Running Start」という制度を利用して授業を受けている高校生がたくさんいます。高校から大学の授業が受けられることや、その高校生たちが車で通学するシアトルの車社会に驚きました。

このインターンシップを選んだ理由は?

インターンシップ先の Boehm’s Candies にて。

インターンを受け入れてもらうには、日本に少しでも関わりを持ったことのある会社でなければ受け入れてくれないと思い、ジャングルシティの「シアトルのおすすめのチョコレート」に載っていたお店のリストからインターンシップ先の候補を探しました。日本のメディアに取材されたことのある、日本人観光客が訪れるような店なら、日本人への抵抗が少ないかもしれないという安易な考えが奇跡的にうまくいきました。(実際、Boehm’s には日本人と関わりのある人々がたくさんいらっしゃいました!)

そして、その中から、ホームステイ先から行きやすく、大きすぎず小さすぎない規模で、販売だけでなく商品を実際に作っている会社、という自分の希望する条件にぴったりと感じたのが Boehm’s Candies でした。ホームページにインターン枠の募集はなかったので、問い合わせフォームのメールアドレスにレジュメを添付して直接問い合わせたところ、運よくお返事をいただくことができ、面接を受け、採用が決まりました。

どんな仕事?その経験を今後どうつなげたい?

私の場合は少し特殊で、「将来小さいお店を開いて自分の作ったものを売りたいので、そのために必要なことを学びたい」と伝えたところ、社長業務体験+職場体験のようなことをやらせていただくことになりました。

具体的には、社長に同行してフードショーやギフトショーに行き、仕入先の見つけ方を学んだり、小売店視察に行き商品棚のチェックをしたり、過去の売上データや会計情報、在庫管理の方法、信頼関係の大切さなど会社を経営するにあたり必要なことを細かく教えていただいています。

社長さんは「あなたをパートタイマーとして使うつもりはないから、やりたいこと、学びたいことをどんどん言ってね」と言ってくださり、自分で考えて主体的に行動することができる素晴らしい環境です。

新商品開発とその宣伝をやりたいと伝えたところ、新商品に関するミーティングに参加し、若い世代の意見として商品のパッケージカラー、公式 Facebook の投稿などにわたしの意見を採用していただくことになり、非常にやりがいを感じています。また、たくさんのことを学ばせてくれる Boehm’s にどうしたら少しでも貢献できるかと考え、商品の魅力を伝えるポスターや見本を配置したり、店内での新商品のサンプリングを提案し、行ったりしています。

イングリッシュトフィのもととなる飴を作っているキャンディ職人のランディ

上の写真はイングリッシュトフィ(甘みのある塩味のカリっとしたナッツ入りの飴をチョコレートとナッツでコーティングしたもの)のもととなる飴を製造しているキャンディ職人のランディです。キャンディやチョコレートの昔ながらの製法も体験させてさせていただき、食が大好きな私にはこれ以上ない最高のインターンシップ先です。

社長さんはことあるごとに、「あなたかお店を作るときは、○○ にするんだよ」と、失敗談や成功経験を話してくれるので、今まで考えたことのなかったリアルなビジネスの現場を体験することができています。授業で習ったビジネスケースは一例にすぎず、実際の会社では想像よりもはるかにたくさんのことを考慮に入れなければならず、会社をうまく回し続けることがいかに大変か、自分の会社には何が最適かを常に問い続けていかなくてはならないと実感しています。

75年続く老舗の Boehm’s は商品、経営方針ともに数多くの方法を試していて、それぞれに関するエピソードを聞くのがとても興味深く、考えさせられることがたくさんあります。

バーナード社長(中央)とスタッフ

Boehm’s でのインターンシップでビジネスに関する見識を深められたのは確かですが、一番の収穫は、バーナード社長に出会えたこと。まだ出会って1カ月ですが、わたしの人生に大きなく影響を与えてくれた、一生かけて恩返しをしたい理想の人です。まわりの人の幸せを常に考え最高に面白く、のんきで親切で、こんなにも素敵な、尊敬できる人に留学中に出会えるなんて、考えてもいませんでした。将来、私も人の心に影響を与えることができる人になりたいと心の底から思います。「どうしてこんなに優しくしてくれるの?」と聞かれたら、「バーナードっていう素晴らしい人が私にしてくれたことをしているだけなんだよ」と答えたいです。そして、自分と接した人が誰かに同じことをしてくれ、幸せな連鎖が続くように貢献することが、私の現在の夢であり目標です。

「値上げしたら?」という小売店や、社員からの提案に対し、「現状になんの不自由もない。お客さんは何も悪いことをしていないいい人たちばかりだ。なのになぜお客さんに悪い態度をとろうとするんだ。失礼だ。お客さんに良くするべきじゃないのか。できるところまで一緒にがんばろうよ。」こんなことを従業員に対して言える社長さんのもとでインターンシップをできていることが本当に幸せです。

日本にもなんとかして値上げをしないで価格を維持するお店がたくさんありますが、「店主さんたちはこのような思いで努力し、お客さんのことを考えていたのか」と思うと一つ一つのお店、商品に対する見方が変わりますね。

その他に挑戦していることは。中でも「わくわくする挑戦」は?

現在はインターンと並行し、留学中に感じた「世界は私たちが想像するよりもっと身近で小さいものなんだ」というメッセージを発信する KIZUNA(絆)プロジェクトに携わっています。2月24日には「腕を組んで一斉に立ち上がった最多人数」のギネス世界記録(既存記録は118人)を更新するイベントをシアトルの東、ベルビュー市で開催し、13カ国135人の人に来ていただくことができました。

日本にいたときは他国の人に対し、先入観から来る偏見を持って接してしまっていましたが、留学中に接した他国から来た人たちは親切な良い人ばかりで、自分がいかに国籍の違いだけで彼らを自分とは違う存在にしてしまっていたかに気づきました。この留学をしなくては気がつかなかったことを、帰国前に多くの人に伝えたいと友人たちと企画しているところです。

掲載:2018年2月 文・写真:中川風輝

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