石原宏朗(いしはら・ひろあき)さん
【学校】 Bellevue College
【留学期間】 2017年3月~2018年3月
【インターンシップの内容】 indi chocolate マーケティング体験
写真上:イベントでボランティアをしてくれた友人たちと。青いシャツを着て看板を持っているのが石原宏朗さん。
留学しようと思ったきっかけは?
高校3年の大学受験の時に、人生の一部でもあるバスケをしていて、「どうしたら身長が伸びるか」などの疑問から、身体の栄養学や食品業界に興味を持ち、マーケティングを通じて商品開発などをしてみたいと思いました。
大学のゼミのテーマは「訪日外国人に日本食をどう伝えるか」でした。また、今後の日本の食品メーカーの課題を考えた時に、人口減少と少子高齢化は避けられないと考えました。
それで、就職活動をする前に、海外で働くことに自分は耐えられるのかを確かめ、海外で食のビジネスを広げる経験を得るために、栄養学の学部授業やインターンシップができる留学プログラムを選びました。
シアトルで体験したカルチャーショックは?

アメリカは多くの人種の人が集まる国とういこともあり、日本に比べると、人の目を気にしないことが当たり前だと感じました。自分が日本で日本人に嫌われないように動いたりしていたことを意識させられるのは辛かったです。
前述の「人の目を気にしない」ということに加えて、シアトルで出会ったアメリカ人の多くは、勉強や運動における個人能力の高さを引き上げ、グループの力につなげていくように思いました。
日本にいた時は、チーム全体で動くことに集中しすぎて、個人の力を引き上げることをしなかったため、チームとしての力がそこまで大きくならないことが多かったです。ビジネス系のミートアップに伺った時は、参加者の多さに圧倒されました。
このインターンシップを選んだ理由は?

食品業界で働きたいと考えているので、2ヶ月半のインターンシップでマーケティングの密度を濃くすると考えたときに、加工食品の会社を思いつきました。また、シアトルの人たちのローカルフードに対する愛を感じたので、シアトルの一番の観光地であるパイク・プレース・マーケットでシアトルで作られているローカルの加工食品でマーケティングのインターンシップをしようと決意しました。
インターンシップ先に選んだ indi chocolate は、オーナーのエリン・アンドリューがカカオ農場を自ら訪問し、仲介業者を介入せずにカカオを輸入し、ダークチョコレートを製造している会社です。また、フェアトレードで普通のチョコレートよりも価格を高めに販売することで社会貢献も行っています。
どんな仕事?その経験を今後どうつなげたい?
インターンシップを始めた時は、メールマーケティングのサイトでメールアドレスを打つ作業をしました。しかし、同僚の人達が忙しいこともあり、ほとんど仕事がありませんでした。そこで、マーケティングの視点から、今この会社の中ですべきことは何なのか判断し、2ヶ月で自分自身が会社に最大限貢献することを考えました。
それには、「自主性と計画性」が必要でした。
雨の日が多いシアトルに住む人たちは冬は余暇活動が少なくなり、かつ気分が落ち込みやすいとされています。また、アメリカでは高血圧などの生活習慣病にかかりやすいということも言われています。そこで、日本酒の持つ「高血圧や糖尿病予防の持つ健康価値」と、ダークチョコレートの持つ「生活習慣病予防と幸せな気持ちを高める成分(セトロニン)」を通じて、「3種の日本酒と3種のダークチョコレートのペアリング・イベント」を開くことを決めました。
一般的にアメリカでは日本酒はまだビールやワインほど人気は高くありませんが、このイベントをきっかけに、ダークチョコレートとの相乗効果で、新たな日本食文化として健康志向のシアトルに新しい健康食の組み合わせとして認知されればと思いました。
ビジネスとして協働者間の利益を考えることは難しく感じましたが、自分自身が動き出さなければ、もちろんイベントは成立しません。いつまでに何をするのか、言うことは簡単ですが、実行することは難しいと痛感しました。さらに、英語で会話し、自分の意思を伝えることは、当然ながら日本語以上に難しかったです。
でも、このイベントのマーケティングの経験を通じて、自主性と計画性の大切さと、それを実行する難しさを学ぶことができました。これは将来、外資系や日本のどんな会社でも必要なことだと思うので、しんどいことも多くありましたが、インターンシップの段階で深い経験ができて本当に幸せでした。
文・写真:石原宏朗