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シアトル発!自分を自由に表現するための下着ブランド 『TomboyX』CEO フラン・ダナウェイさん

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『TomboyX』 の人気商品

アパレルやファッション系のスタートアップは、レンタルドレスの『Rent the Runway』など、ニューヨークやロサンゼルス発の会社が大多数を占めますが、ここシアトルのソードー地域にあるアパレルブランドが、今、注目を集めています。

TomboyX』 と呼ばれるこのブランドの人気商品は、ユニセックスな見た目のブリーフやボクサーショーツ、そしてフェミニンさを感じさせないコットンのスポーツブラなど。色使いも従来の下着ブランドに見られるようなピンクや赤などではなく、白や黒などのニュートラルな色が多く、力強さも感じさせます。

また、ウェブサイトに使われているビジュアルはとてもアーティスティックで、エッジが効いたものばかり。サイズ展開も XS から4X までと豊富で、特に LGBTQ や、従来の「男らしさ」「女らしさ」にとらわれない人たちのコミュニティに熱く支持されています。

販売方法は、オンラインとイベントでの販売のみで、実店舗がないのもユニーク。主にソーシャルメディアでのインフルエンサーを通したマーケティングや口コミが、その急成長を支えています。すでに世界48カ国に出荷しており、最近は日本からの注文も増えているそう。

人気の理由を、「下着は男性に気に入ってもらうためにつけるもの、ではなく、自分を自由に表現するためのもの、と考える人が増えたから」と『TomboyX』 社 CEO フラン・ダナウェイ氏は考察します。メディアでのマネジメント職を離れ、新しい事業を立ち上げるまでと、今後の展開の予定についてお話を聞きました。

– 起業して変えたいと思ったことは?

CEO フラン・ダナウェイ氏(左)とパートナーのナオミ・ゴンザレス氏

私はもともとボタンダウンのシャツが大好きでいつも着ているのですが、男性用のものは体に合いませんし、なかなか自分にフィットする高品質のものがなくて困っていました。下着についても同じ悩みがあったので、女性向けの男性風ボクサーブリーフという、当時はなかったものを製造販売するクラウドファンディングのプロジェクトを立ち上げることにしたのです。

プロジェクトを立ち上げて一週間もしないうちに、「こういうものをずっと探していた」という熱烈な応援の声が世界中から届き、こちらが圧倒される日々が続きました。それが 『TomboyX』 のヒーロー・プロダクト(注:ブランドを代表する人気商品)ができた瞬間でした。

持続可能で、高品質で、着る人にとって大切なことを表現する、という3本柱で、女性向け・男性向けと区切ることなく、ジェンダー・ニュートラルな商品を製造販売しています。下着の他にも、パジャマや水着、ラウンジ着などのラインも展開しています。

“We fit you. Because fitting in was never the point.” というスローガンで、女性経営者の工場で、持続可能な布地と水の使い方を最小限に留める加工法を使い、労働者に妥当な賃金を払うやり方を選択しています。

– 起業したきっかけは?

TomboyX

クラウドファンディングのプロジェクトが圧倒的な反響を得て成立したので、当時所属していたメディアでのプロデューサー職を辞めて、私生活でのパートナーであるナオミと一緒に起業することを決めました。フリーランスとして仕事をしばらく続けながら、その間に試作品(Proof of Concept)を作ることに集中しました。

私は映像制作の学校を卒業し、ずっとクリエイティブな仕事をしていたため、起業の際に自分が対外的なマーケティングなどを率いるのは自然な選択でした。そして、パートナーのナオミが財務などのバックオフィス業務を担当する、という役割分担が自然にできました。

– 会社で一番自慢のポイントは?

TomboyX

今までの人生から完全に欠けていたものを、文字通り毎日提供することができている、ということを非常に誇りに思っています。下着は誰でも毎日つけるものですからね。

メールや電話、オンラインショップのユーザー・レビュー欄などを通して、世界中からフィードバックを下さるお客さんが絶えないこともとても誇りに思っています。本当に涙ながらに、こういう製品をずっと待っていたのだと言ってくださるお客様が、とても大勢います。

返品率も2%と、アパレル業界平均の30~35%と比較しても圧倒的に低く、私たちの商品が支持されている証拠だと考えています。

– 今までで最大のチャレンジは?

TomboyX

事業をスケールアップさせることが目下の最大の課題です。2013年に起業して以来、ここまではスクラッピー(あり合わせのリソースで泥臭く進めるやり方)な方法で事業を進めてきましたが、これからはより効率良く事業を拡大していかないといけません。この切り替えが非常に難しいと感じています。

中でも資金確保は一番のチャレンジです。女性の創業者に資金提供するベンチャーキャピタルは全体の2%程度だそうで、自分や他の女性創業者ネットワークを活用するだけではどうにもならない課題があると感じています。

– シアトルのスタートアップ・コミュニティの特徴は?

TomboyX

当たり前だと言われるかもしれませんが、シアトルのスタートアップの一番の特徴は、圧倒的にテクノロジー関連の事業が多いことです。小売やアパレルのスタートアップはあまり多くなく、片手で数えるほどしかありません。

一方で、女性経営者と男性経営者のバランスは比較的取れているという印象があります。もちろん、絶対数としてはまだまだ少ないですが、他の地域と比較するとスタートアップでリーダー的なポジションについている女性が多いのではないかという印象があります。

– よく行くコーヒーショップは?

バラードにある 『Cupcake Royale and Verite Coffee』 は最高だと思っています。ただただ美味しいカップケーキに、ぴったりあうコーヒー。これ以上、説明する必要があるでしょうか!

– 今後の海外展開の予定は?

海外にも需要があることは痛いほどわかっています。現在も世界中に配送しているのですが、まだまだ輸送費がかさむため、結果的にお客様の負担が大きくなっていることに心を痛めています。

最新のテクノロジーを駆使したロジスティクス関連のスタートアップがシアトル地域にはたくさんあるので、そういったところと協業を検討して、もっと効率よく海外のお客様にも製品を届けたいと思っています。

TomboyX
共同創業者&CEO:フラン・ダナウェイ
社員数:約90名 ※2019年10月時点
本社:シアトル
創業年:2013年
ウェブサイト:tomboyx.com

取材・文:渡辺佑子

このコラムの内容は執筆者の個人的な意見・見解に基づいたものであり、junglecity.com の公式見解を表明しているものではありません。

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