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「思春期前の女の子に、自信をつける方法を伝授する」 ZGiRLS 共同創業者 ジリーン・ジャービスさん

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「思春期前の女の子に、自信をつける方法を伝授したい」 ZGiRLS共同創業者 ジリーン・ジャービスさん

一般的に、「アメリカ人は前向きで自信家が多い」との印象を持たれがちです。でも、実は多くの子どもたちは自尊心の低さと自信のなさに悩んでいるという調査結果があるのをご存知でしょうか。

私たちは幼い頃からさまざまな経験を通して自信を育んでいきますが、ミシガン大学保健学部のC.S.モット小児病院が実施した「子どもの健康に関する全国世論調査」で、現代のティーン(13歳以上)やプリティーン(12歳以下)は、ソーシャルメディアの影響などによって、6割以上が自分の外見に不安を抱えていることがわかりました。また、女の子の10人に7人が「自分は不十分だ」と思い込み、絶えず自分を責めてしまうこともわかっています。

このような状況に危機感を感じ、女の子に自信をつけるスキルを教える ZGiRLS を立ち上げた元オリンピック選手のジリーン・ジャービスさんに、お話を聞きました。

もくじ

ZGiRLS とは?

ZGiRLSは、6週間のオンラインプログラムで、「Body Image(ボディー・イメージ)」、「Mean Girls, Cliques, and Friends(意地悪な女の子、派閥、友人)」「Self-Talk(セルフ・トーク)」など、プリティーンの生活に密に関わるトピックでさまざまなアクティビティを行います。

プログラムの特色は、指導するメンターの多くが、現役及び元プロ・アスリートであること。スポーツをやっていることは生徒の参加条件ではないものの、ホッケー、バスケットボール、陸上など多様な競技のオリンピック金メダリストをメンターとして迎えるプログラムは、多くの女の子を惹きつけ、毎回500人の定員に達し、参加待ちリストができるほど人気を博しています。

元オリンピック選手のジリーン・ジャービスさん Q&A

「思春期前の女の子に、自信をつける方法を伝授したい」 ZGiRLS共同創業者 ジリーン・ジャービスさん

– 起業したきっかけは?

私はもともとプロのスキー選手で、米国代表アルペンスキーチームに所属していました。引退後は週末に趣味で女の子たちのコーチをしていたのですが、指導しているうちに、女の子は思ったよりも幼い頃から自尊心や自信のなさについて悩み始めるのだと気づきました。

11歳の教え子が、自分の体の嫌なところを口にしたり、何かに挑戦する前から諦めてしまったりする場面に直面して、自尊心を育てるためのプログラムが必要だと感じました。私自身も表向きには活発で成功したアスリートでしたが、長い間自分に自信が持てずに苦しんでいたことがあるからです。

そんな女の子たちに紹介できるようなプログラムを探してもなかなか見つからなかったので、自分で必要なプログラムを提供しようと思いました。自信を持つことは100%学習できるスキルで、義務教育を通じて学ぶのが理想ですが、今の初等教育で直接学ぶことはできません。そうなるまで、ZGiRLSを通じて、できるだけ多くの女の子に自尊心を育てるためのプログラムを届けたいと思っています。

– 起業して変えたいと思ったことは?

「10~12歳の思春期を目前にしたプリティーンの女の子に、自信を持つスキルを伝授する」ということにつきます。

一般的に、自分に対する疑念や不安はプリティーンから始まりますが、自分の感情や思考を理解する方法を学べば、そのサイクルを止めることができると信じています。自分の思考が形成する現実をそのまま信じる必要はありません。なので、プリティーンのうちに自己疑念や不安の連鎖を断ち切り、自信を持つスキルを身に付けることができれば、思春期を乗り越え、もっと強く、自信に満ちた勇敢な女性になることができるでしょう。

正直なところ、自信をつけるということは、筋肉をつけるトレーニングと同じだと、私は考えています。筋肉を育てるためには、ジムに行って、重量を見るだけではなく、手に取り、筋肉を屈曲させる必要があります。自信や精神的なスキルに関しても、まったく同じことが言えるのです。ZGiRLSが行っている6週間のプログラムの中では、このようなスキルを学ぶだけでなく、日常生活の中に取り入れ、自分の心の声をナビゲートしたり、困難を克服する方法を学んでいきます。

今シーズンで引退した WNBA シアトル・ストームの伝説的選手スー・バードと

– 今までで最大のチャレンジは?

一番大変なことは、プログラムの対象であるプリティーンの女の子が、自分自身の問題について認識していないことです。親は見ていて問題を認識しているので、娘をZGiRLSに参加させますが、当人に「あなたにはサポートが必要だ」と伝えても、「必要ない。周りが私を理解していないだけだ」と、サポートを拒絶される場合が多くあるのです。このような子こそプログラムから得るものは多いのですが、そこからどう参加を促すか難しいところがあります。

ありがたいことに、現在行っている秋のオンライン・プログラムは満員で、500人の女の子が参加しており、キャンセル待ちのリストもあります。事業を拡大し、参加人数を増やしたいと思っているのですが、現状のプログラムを維持したいという希望もあり、葛藤しています。

ZGiRLSでは、こちらから一方的に情報を発信することはせず、参加者と対話できるような環境作りを心掛けています。オンライン上のやり取りのみで、参加者全員と信頼関係を構築することは非常に困難ですが、参加者同士交流する時間を設けたり、Zoomのチャット機能を使用して、対話の機会を作っています。

また、自傷行為や摂食障害などを含む早急な対応が必要なケースを見逃さないようにするため、毎回、専門知識を持ったソーシャルワーカーがプログラム参加中に使うチャットの内容を確認し、何か心配事があればすぐにフォローアップしています。このような緻密かつアットホームなコミュニティをプログラムの規模を拡大しながらどう維持していくのかが、今後の課題です。

@JaneG. Photography

– 会社で一番誇りに思うことは?

最近、第一回のプログラムを受け、20代の女性が「ZGiRLSで培ったスキルが私の人生変えてくれました。ありがとう」と話してくれました。このような話を聞くことが、事業継続のエネルギーとなっています。

思春期の自己不信がその後の人生に与える影響は計り知れません。ですので、私は彼女たちに自分の力のすべての注ぎ続けるつもりです。毎週プログラムを運営する上で参加者の微妙な変化を感じることは難しいかもしれませんが、「ZGiRLSのプログラムのおかげで、人生の困難な状況にも対応できる自信がついた」と話してくれる参加者をとても誇らしく思います。

– シアトルのスタートアップコミュニティの特徴は?

私はシアトルの起業家であることがとても好きです。シアトルのスタートアップコミュニティはとても協力的で、困った時に手を差し伸べてくれる、温かいネットワークだと思います。

起業するにあたって多くの困難に直面し、これまでワシントン大学を始めとしたシアトルのコミュニティのメンターに助けられてきました。事業で困難に直面すると、誰もが喜んで、彼らの経験を共有してくれます。
だから今、私もできる限り同じことをするようにしています。今から起業しようとしている人、特に女性には、メンターとしてできることがあればすべて「イエス」と答えています。

– 休日の過ごし方は?

スキーが好きです(笑)。マウンテンバイクに乗るのも、ゴルフも大好きですし、水辺に行くのも好きです。

シアトルで最も気に入っているのは、一時間以内で自分の好きな地形にアクセスできることです。スキー選手として東海岸に住んだり、世界中に遠征したりしたこともありますが、海も山も森もあるシアトルが大好きで、離れたいと思いません。

– 今後の事業展開の予定は?

私の最終的な目標は、100万人の女の子にZGiRLSのプログラムを提供することです。娘を持つ人なら誰でも知っているようなサービスになるために、毎年何十万人もの女の子たちにサービスを提供できるよう、事業を成長させたいと思います。

そして、私たちのプログラムを受けているかどうかに関わらず、女の子たちが自信や内面の強さを身に着ける方法を知るためのリソースになりたいと思っています。

ZGiRLS
共同創業者&エグゼクティブ・ディレクター:ジリーン・ジャービス
社員数:10名 ※2022年11月時点。インターン6名を含む。
本社:シアトル
創業年:2014年
ウェブサイト:zgirls.org

取材・文:大阿久裕子さん(LinkedIn)写真提供:ZGiRLS

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