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外食産業で働くための職業訓練を通じ、経済的自立を支援する 『FareStart』

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コントラクト・キッチンの様子

ホームレスだった人や低所得者に外食産業で働くための職業訓練の機会を与え、経済的自立を促す目的の下に運営されている非営利団体 『フェアスタート』 。調理場での実践的な訓練と就職や生活に必要な知識・技能を身につけるワークショップを組み合わせたプログラムで、訓練生が短期間で自信をつけられるよう、全面的にサポートしています。

シアトルで営利団体 『コモン・ミールズ』 を立ち上げ、ホームレス・シェルターなどに料理を配達していたデヴィッド・リーさんが、「社会復帰に本当に必要なものは、仕事をするための技術習得だ」と気づき、調理場で訓練を行うプログラムを考案したのがそもそもの始まり。1992年には非営利団体 『フェアスタート』 として “レストランの営業+調理訓練” というモデルを確立し、2004年に訓練施設を兼ね備えたレストラン 『フェアスタート』 をダウンタウンに開店しました。

もくじ

調理訓練プログラム

リテール・キッチンでトレーニングをする
FareStart のシェフ、ドリュー・ボラスさん

毎週火曜に行われるオリエンテーションに参加すると、基本的に誰でも全4ヶ月に及ぶ調理とカスタマー・サービスの訓練を受けられるそう。訓練中は、同団体が訓練生の住居・交通・保険など生活に必要なものを全てサポートしてもらえます。

最初の1ヶ月はホームレス・シェルターなどに配達する料理を作るコントラクト・キッチンで調理の実践トレーニングを受け、2ヶ月目はリテール・キッチンでレストラン運営のサポート、3ヶ月目はケータリングなどを担当。最後の1カ月で初めてレストラン 『フェアスタート』 の調理場に立てるようになります。

就職斡旋プログラム

レストラン 『FareStart』の店内

調理場での実践的な訓練と同時に参加するワークショップでは、食品の安全性や栄養について学び、仕事に必要とされるチームワーク、仕事探しや履歴書の作成に必要な知識などの就職サポートを受けられます。

カウンセリング室やコンピュータ室も用意し、 メールを送受信する方法や、インターネットを使って必要な情報を見つける方法なども教えているそう。マーケティング・コミュニケーション・マネジャーのカーラ・スミス・ジョーンズさんは、「レストラン業界に限らず、他のサービス業にも対応できるよう、仕事や生活に必要な最低限のことはすべて教えています」と話してくれました。

コミュニティのサポートが不可欠

両プログラムの運営にかかる費用の約半分はレストラン 『フェアスタート』 の収益が充てられていますが、残り半分は財団法人や地元のレストラン、スーパーマーケットなどからの寄付で支えられています。

また、シェフからの信頼も厚く、毎週木曜に開催される 『ゲスト・シェフ・ナイト』 では、シアトル市内の人気レストランからシェフがゲストとなり、訓練生とともに3コースの料理を作ります。プログラム終了式も併せて行われるので、卒業生たちと感動を共有できることも、同イベントが人気を集めている理由の一つ。レストランに入ってすぐ左手にある壁面、通称『栄誉の殿堂』には、そうした機会を通じて支援してきたシアトル近郊の有名シェフの写真や、会社名が刻まれた飾り皿が並んでいます。

フェアスタート』 を支援してきたシアトル近郊の有名シェフの写真や、
会社名が刻まれた飾り皿が展示されている『栄誉の殿堂』

発足以来、約3,000人の卒業生を送り出し、そのうちの8割以上がプログラム終了後90日以内に就職しているとのこと。「不安などから、途中でプログラムを続けられなくなってしまう研修生も中にはいます。ですから、プログラムを成し遂げた研修生の新しい人生への旅立ちに立ち会える 『ゲスト・シェフ・ナイト』 は本当に感動的です」とカーラさんは語ります。

木目と黒を基調とし、すっきりした印象の店内をデザインしたのは、スターバックスの重役ダレン・メダイナさん。ダレンさんも 『フェアスタート』 の趣旨に賛同した一人で、ボランティアとしてこのプロジェクトに参加しました。店内の中央にある長テーブルは、もともと解体現場にあった梁を譲り受けてきたもので、テーブルとして蘇らせることで、 『フェアスタート』 の「新しい人生へ踏み出す一歩を支える」という理念を表現しています。

将来、ここから新たな有名シェフが生まれるかもしれません。

Fare Start
フェアスタート
700 Virginia Street, Seattle (地図
www.farestart.org

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